花束はプレゼントの定番です。恋人への記念日の贈り物、友人へお祝いに添えて、両親への感謝と共に、シュチュエーションは様々です。
そのときに少しだけ気にしたいのが花言葉です。いろいろありますが、中にはお祝いには適さない花言葉をもつものもあります。
だからと言って、贈り物に適さないわけではありません。悲しい意味をもつものも、相手の心に寄り添うことができるもの、あなたの寂しい気持ちを代弁できるものもありますので、ご紹介します。
花言葉とは
ほとんどの花には花言葉があり、中には同じ種類でも色によって違う意味をもつものもあります。
花言葉の始まりには諸説ありますが17世紀頃にトルコにあった「花に想いを託して恋人に贈る」という、セラムという風習が根源とされています。これには愛を伝えるためにチューリップが用いられていました。
それがイギリスへ広がり、そしてヨーロッパ中へ、19世紀頃には日本にまで広がってきました。
ちなみにチューリップの基本の花言葉は「博愛」でした。これはオランダの昔話からで、「3人の騎士から求愛された娘が、3人とも大切で誰を拒むこともできず、悩んだ末花の女神フローラに懇願し、わが身をチューリップに変えてもらった」という由来からきています。チューリップには色ごとに違った花言葉があります。
このように、花言葉にはそれぞれ由来があり、各国ごとにその土地にあった意味が付けられているようです。
失恋に寄り添う花言葉
たとえば失恋した友達に、軽々しい理解や同意は逆に傷つけてしまいそうなとき、「この花ならば、あなたの切ない気持ちに寄り添ってくれるよ」という思いを込めて、贈るのに適した花言葉をもつ花を紹介します。
花を見て癒されることもあるでしょう。その花が、傷ついた気持ちを代弁するような謂れをもつものであればなおさらです。調べてみると、なかなかに酷い由来を持つ花もあります。
アネモネ
アネモネの花言葉は「儚い恋」「恋の苦しみ」「見捨てられる」などがあります。
青や紫、オレンジなどのカラフルな花を咲かせる球根植物で、花屋の軒先に並ぶことも多いので名前はわからなくても一度くらいは見たことがあるかもしれません。
花言葉の由来は悲しい勘違いのギリシャ神話からです。
「花の神フローラは、西風の神ゼピュロスは自分を愛していると思っていましたが、実はフローラの娘であるアネモネに恋をしていました。それを知ったフローラは憤慨し、アネモネを追い出してしまいました。ゼピュロスは花の神であるフローラとの平和を保つため、アネモネを見捨ててしまいました」
この神話から、苦い意味の花言葉が付けられました。ひどい男に裏切られた心を映しています。
ヒガンバナ
ヒガンバナの花言葉は「悲しき思い出」です。
独特な赤が魅力的な花ですが、日本では特にお墓に備えられたり植えられたりすることが多いことから、不吉なイメージをもたれる花です。仏教の世界では「天上の花」と言われ、この世と天国をつなぐ花とされています。
大切だった人を思うときに、あなたに寄り添うのにふさわしい花です。忘れることも大切ですが、たまには大切な人を悼む時間をとることも大切です。失恋は失恋でも、好きな相手を亡くしてしまったときに、そっと寄り添ってくれる花です
朝顔
朝顔の花言葉は「儚い恋」です。
ヒマワリと並んで、日本の夏の花の代名詞と言ってもいいでしょう、夏に最盛期を迎える花です。ラッパ型の青や紫などの色合いが涼し気な鉢は、小学校の頃育てた人も多いのではないでしょうか。
朝顔の花は早朝に咲き、昼にはしぼんでしまう花の命が短いことからきているようです。真剣なつもりだったのに結果的に、ひと夏の恋になってしまったような遣る瀬無さを感じさせる花言葉です。
紫のクロッカス
クロッカス全体の花言葉は「青春の喜び」ですが、紫色には「不幸な恋」「愛の後悔」という意味があります。
クロッカスもギリシャ神話を由来としています。「美青年クロッカスは、羊飼いの娘スミラックスと恋に落ちますが、神々がこの恋を許しませんでした。絶望したクロッカスは死んでしまいました。残され嘆き悲しむスミラックスを哀れに想った花のフローラが、二人を花に変えたのがクロッカスである」という話です。
愛したが故に訪れた悲しみです。理不尽な理由で別れさせられた恋に贈りたい花です。
黄色の花の花言葉
黄色はヨーロッパでは良いイメージがなく、娼婦の着る色に使われたり、罪人の家の門やドアを黄色に塗ったりするところもありました。キリストを裏切ったユダの衣の色も黄色で、黄色は裏切りの色とされてきました。
花言葉でも、黄色の花の花言葉はネガティブなものが多いようです。
マリーゴールド
マリーゴールドの花言葉は「嫉妬」「絶望」「悲しみ」です。
小さくて濃い黄色の花が、丸くて可愛らしいマリーゴールドからは想像し難い花言葉です。
「聖母マリアの黄金の花」を意味します。年に数回ある、聖母マリアの祭日にはいつも咲いている花であることからきているそうです。
失恋した相手の苦しみを変わってあげることも、手を差し伸べることもまた難しいとき、あなたの代りに小さな可愛らしい花が、相手の絶望と悲しみに寄り添って救ってくれることでしょう。
キンセンカ
キンセンカの花言葉は「悲嘆」「別離の悲しみ」「失望」などです。
オレンジや黄色の鮮やかな色が元気をくれそうな印象の花です。
この花言葉は、ギリシャ神話の神様と精霊と人間の三角関係から来ています。ドロドロした三角関係から生まれたものなので、どうしてもネガティブな意味を持ってしまいましますね。
マリーゴールドと似た花ですが、同じキク科ではありますが、キンセンカはキンセンカ属、マリーゴールドはコウオウソウ属です。大きく違うのは葉っぱの形状です。キンセンカの方が葉が丸いです。
スイセン
水仙の花言葉は、有名な「うぬぼれ」「ナルシスト」と、そして「私のもとへ帰ってきて」「私を愛して」という意味があります。
これは有名なギリシャ神話に由来する「ナルキッソス」の話と、もう一つペルセポネをめぐるギリシャ神話に由来しています。
「冥王ハーデスが、スイセンを摘んでいたペルセポネという少女に恋をし、冥界へと浚ってしまいました。少女ペルセポネは実は大地の女神デメテルの愛娘でしたが、女神の懇願虚しく、ペルセポネは地上に帰ってくることはできませんでした」
嘆き悲しんだ女神の娘を思う気持ちから、「私のもとへ帰ってきて」という花言葉が生まれたとされました。そしてまた、ペルセポネからの愛を受けることのできなかった冥王ハデスの思いから「私を愛して」という花言葉も生まれたとされています。
望まぬ別れを強いられてしまった相手と、もう一度愛しあいたい。そんなときに贈る花として相応しい花です。
チューリップ
チューリップの花言葉は、基本的にポジティブなものが多いです。セラムで贈られていたのもチューリップで、チューリップはヨーロッパ中で大人気の愛の意味を持つ花で、プロポーズに最適とされていました。
その中で、黄色のチューリップには「実らぬ恋」、黒いチューリップが「私を忘れてください」という、なんとも物悲しい花言葉がつけられています。
また、チューリップは本数別に花言葉が異なります。
1本だと「運命の人」3本だと「愛してる」など。16本の「不安な愛」17本「絶望の愛」など、絶望や孤独を意味する花言葉がありますので、ちゃんと調べてから贈るようにいましょう。
遠くにいる恋人へ贈るなら
重い女と思われたくない。寂しく悲しい気持ちを、遠くにいる相手にぶつけてもどうしようもない、そう考える人も多いでしょうし、正論です。それでも収まらない寂しい気持ちを、花にこめて贈ってみてはいかがでしょうか。
直接は言いにくいメッセージでも、花言葉に乗せればそっと伝えることができそうです。
ワスレナグサ
花言葉は「私を忘れないで」です。小さくて淡い青の花が物悲しい風情を醸し出しています。
ドイツの伝説が由来とされています。恋人を助けようとして川に飛び込んだ騎士が、重い鎧のせいで自分は助からないことを悟り、最後の力を振り絞ってこの花を投げ渡しながら「私を忘れないで」と叫び、流れに飲み込まれていったお話しです。
遠くへ行く恋人、例えば遠距離恋愛の相手に贈るのはいかがでしょうか。あなたの心そのままのメッセージです。
ハナニラ
花言葉は「悲しい別れ」「卑怯」「恨み」、そして「愛しい人」です。
花自体はとても可愛らしい紫やピンク、または白と青、野生に近ければ深い青の星型の花が咲きます。憂いを秘めたような青みを帯びた花が、物悲しい印象を与えることから、「悲しい別れ」を意味するよういなったと言われいます。
ネギやユリの仲間で、葉と球根からニラのような香りがすることから、「花韮」と名付けられました。触れなければ問題ありませんが、葉や根を傷つけると強い香りを出すので「卑怯」「恨み」、耐寒性と繁殖力が強く、素人でも育てやすいことから、「耐える愛」の意味を持ちます。
鉢植えで贈ったり、庭に咲かせるのに最適な花です。
ダリア
花言葉は「華麗」「優雅」というポジティブな意味の他、「裏切り」「不安定」「移り気」です。
ダリアの豪華な花の印象からは、ポジティブな花言葉の方が相応しいようですが、ネガティブな意味の方はナポレオン1世の妻ジョセフィーヌのエピソードが由来になっています。
「ジョセフィーヌは、ダリアの花をとても愛していて、自分の庭だけ育てていました。しかしその大事に愛していたダリアの花が、とある女性に盗まれてしまい、女性の庭でダリアの花を咲かせました。それを知ったジョセフィーヌは、ダリアへの愛情が一気に冷めてしまいましました」
ここから、「移り気」「裏切り」という花言葉が付いたそうです。
チョコレートコスモス(黒コスモス)
花言葉は「恋の終わり」「恋の思い出」「移りかわらぬ気持ち」です
チョコレートコスモスは、チョコレートのような甘い香りを持つ多年草です。ダークな赤紫色の花びらは黒コスモスとも呼ばれ、一時バレンタインに贈るのが流行しましたが、本来の花の季節は5月から11月です。
コスモスは日本でも馴染み深い花で、140年ほど前にメキシコからやってきた外来種です。すっかり日本では野生化したように思いましたが、チョコレートコスモスだけは野生種は育たなかったため、現在は人工栽培のみです。
恋の終わりを意味していますが、同時に変わらぬ気持ちを表していますので、ウエディングブーケに使われることもあるそうです。
まとめ
いかがでしょうか、贈るのに相応しい花、または貴方のための花はあったでしょうか。
悲しい花言葉だから贈りものの候補の中から外してしまうのはもったいないものもあります。最近忙しい恋人の寂しい気持ちを伝えるため、恋するがゆえに悲しくなってしまう気持ちを、それとなく伝えるためのアイテムとして贈るのも一興かもしれません。
贈るばかりではく、たまには、自分の気持ちを慰めるために、側に飾るのにも相応しいでしょう。ただし、蘭やユリなのど薫り高い花は、病室へもっていくのは不向きですので、TPOには気を付けるようにしましょう。