朝顔と昼顔と似た名前を持つ夕顔。この夕顔は干瓢(乾瓢)の原料として知られています。夕顔は日本での歴史は古く、平安時代にはすでに栽培されていた花です。あの紫式部が書いたとされている『源氏物語』にも夕顔という名の女中が登場していますね。
この夕顔、実は朝顔や昼顔、夜顔などと同じ仲間だと思われていますが、実は夕顔のみ種類の異なる花です。
そこで今回は夕顔の名前の由来や英名、特徴、花言葉、朝顔や昼顔、夜顔との違いなどについてご紹介します。
夕顔とは?
夕顔とはどのような植物なのでしょうか。
夕顔について
夕顔はウリ科の植物でつる性の植物です。また、実の形によって細長い実をつける「ナガユウガオ」、丸みを帯びた球状の実をつける「マルユウガオ」に分けられます。
夕顔は夏の夕方に白い花が開き、翌日の午前中にしぼんでしまう事から夕顔と名付けられました。すでに朝顔、昼顔、夜顔があり、それらに対して命名されました。
しかし、朝顔、昼顔、夜顔はヒルガオ科の植物なのですが、夜顔はウリ科の植物ですので、直接の類縁関係はありません。ちなみに夜顔が夕顔と呼ばれることもあるため、同じ仲間だと思われることも多いようです。
原産地は北アフリカからインド、また日本でも平安時代には栽培されていたとされているのですが、いつどのように日本に伝来したのかについては明らかになっていません。
大きな果実を実らせるのが特徴的で、同じウリ科の植物に大きな果実を実らせるひょうたんがあります。このひょうたんがインドに伝わって栽培されていく中で、苦味が少ない品種が食用となったとされています。
現代の日本では栽培は廃れつつあるのですが、新潟県や山形県、栃木県、山梨県などでも栽培が行われています。東北地方では油いためとしてよく食されています。
実は食用や容器として用いられる
夕顔の実は食用としてだけでなく、容器としても用いられています。また、私たちが巻き寿司や汁物として親しんでいるかんぴょうは夕顔の実を細長く帯状に剥いて加工したものです。かんぴょうは(干瓢)はマルユウガオから作られることが多いです。
沖縄ではチブル(頭という意味)と呼ばれており、かんぴょうにするより冬瓜のように汁物やにみおの、炒め物、また生のまま胡麻和えにして食べることが多いようです。山形県や新潟県では「クジラ汁」の具材として使われています。
また、夕顔は同じウリ科であるひょうたんの中から、苦味を持つククルビタシンが少ない品種を選別して生まれました。そのため、食用以外の品種にはククルビタシンが多く含まれた実をつけることがあります。また、ごくまれに食用品種の一部でもククルビタシンを非常に多く含むものが混じって流通することがあり、自家栽培で苦いと気付かず調理して、苦味を我慢して食して食中毒になった事例もあるとされています。
そのため、ゴーヤー(ニガウリ)と比べて苦味が強いものは注意したほうがいいでしょう。
夕顔には毒性がある?
夕顔の実の中にある種には毒性があり、間違えて食べてしまうと唇がしびれたり、下痢、嘔吐などの症状を引き起こすことがあると言われています。もちろんかんぴょうなどのように加工したものは安全に食べることができます。
日本にはもともと観賞用として伝わったのですが、苦味のないものが普及してから食用としても親しまれるようになったと言われています。
顔の名前の由来・英名・花言葉は?
では夕顔の名前の由来や英名、花言葉はなんなのでしょうか。
夕顔の名前の由来や英名は?
夕顔は朝顔や昼顔、夜顔のように特定の時間に花が開き、それ以外の時間帯はしぼんでいる品種です。夕顔の場合は夕方に花を咲かせて、翌日の午前中には枯れてしまうところから夕顔と名付けられました。
別名「黄昏草(たそがれぐさ)」とも呼ばれています。黄昏時に咲くところからそのように呼ばれているのでしょう。
また、夜顔は「bottle gourd」という英名が名付けられています。元々は「瓢箪(ひょうたん)」と同じ種類だとされていたため、「ボトル」という単語が用いられているようです。ちなみにgourdはウリ科の植物全般を指す英語です。そのため、夕顔の実を乾燥させて作る干瓢のことを「Dried gourd」と呼ばれています。
ただ、長年の栽培で苦味の少ないかんぴょうなど食用に分けられたものを夕顔と呼ぶようになったそうです。
夕顔の花言葉は?
夕顔の花言葉は「はかない恋」や「夜の思い出」、「魅惑の人」「罪」などが挙げられます。
「はかない恋」や「夜の思い出」は夕顔の特性である、夕方に花が開いて、翌日にしぼんでしまうという特徴が由来となっています。
「魅惑の人」や「罪」は源氏物語に登場する女中・夕顔のエピソードが由来となっているようです。
夕顔と朝顔・昼顔・夜顔・冬瓜の違いは?
では朝顔や昼顔、夜顔、冬瓜との違いはなんなのでしょうか。ここではそれぞれの植物の特徴についてご紹介していきます。
朝顔について
朝顔はヒルガオ科の一年性の花で、青や紫色の花を咲かせます。朝顔は日の出前に花が咲いて昼前にしぼんでしまうことがほとんどです。花が終わると実をつけ、黒い種を収穫することができます。
ただし、朝顔は日本朝顔と西洋朝顔があるのですが、西洋朝顔はお昼を過ぎても咲き続けますので、昼顔を間違えられることも多いです。見分け方は鼻の大きさや色で見分けることができます。
また、朝顔はM字型のような大きな葉をつけます。
昼顔について
昼顔はヒルガオ科の多年草です。昼顔は朝顔のように早朝に咲くのですが、お昼にはしぼんでしまう朝顔とは違い昼になってもしぼみません。色は薄ピンク色で、朝顔よりも花が小さ目です。
ただし、先述した通り、西洋朝顔は昼すぎまで花を咲き続けていますので、西洋朝顔と昼顔を間違える人が良くいます。
それでも花の色や大きさが違いますので、そこから判断していくと良いですね。
また、昼顔と言えば、花びらの曜(よう)が特徴的です。曜とは花の中心から放射状に伸びた筋のことで、これが昼顔にははっきりと5本あります。
そして昼顔の葉は小さく、スペード型や細長い二等辺三角形のような形の葉をつけます。
もし朝顔と昼顔のどちらかわからなくなったら花の色や曜を確認してみましょう。
夜顔について
夜顔はヒルガオ科の植物で夜になってから咲くという特徴があります。これまで説明したところからわかるように朝顔や昼顔、夕顔、夜顔の名前は花の咲く時間帯でつけられたのです。
花の色は白が一般的なのですが、夜顔の1つである赤花夕顔は淡い紅紫色の花で、直径5㎝ほどの小さい花を咲かせます。また、白花夕顔は白く直径15㎝ほどの大きな花が咲くのが特徴です。赤花夕顔、白花夕顔は「夕顔」という名前ですが、夜顔の一種ですので間違えないようにしましょう。
冬瓜について
冬瓜は夕顔と同じウリ科の植物です。黄色い花をつけるのが夕顔とは違うところで、また、淡い黄緑色の実をつける夕顔とは違い、濃い緑色の実をつけるという特徴があります。
また、夕顔とは違い、冬瓜はよくスーパーでも出回りますので見たことがある方も多いと思いますが、冬瓜はかたくて、種の周りが空洞になっているという特徴があります。
冬瓜はスープや炒め物などに使われることが多い食用の瓜です。
実際に夜顔の実を食べてみましょう!
では実際に夜顔の実を調理してみましょう。ここでは夕顔の実(干瓢など)を使った料理をご紹介していきます。
夕顔の鳥そぼろ煮
まずはとろりと生姜が利いた夕顔の鳥そぼろ煮を作ってみましょう。
材料
- 夕顔:皮と種を取って750g
- 鶏ひき肉:100g
- めんつゆ:大さじ5
- みりん:大さじ1
- 料理酒:大さじ1
- サラダ油:大さじ1
- おろししょうが:小さじ1
- 片栗粉:大さじ3
- 水:600㏄と大さじ1
作り方
- 夕顔は1つだと50㎝くらいで5㎏ほどの重さがあります。
- 半分にして、更に4等分にして皮と種を取って、さらに縦半分に切って3㎝ずつ切っていきます。
- 鍋にサラダ油をひいて、ひき肉としょうがを入れ、そぼろになるまで炒めたら、切った夕顔を入れて3分くらい炒めます。
- 鍋に600㏄とめんつゆを入れて10分ほど煮ます。夕顔が煮えているか確かめて、片栗粉を大さじ1の水で溶いて、とろみをつけたら完成です。
お好みで鷹の爪を少し入れるのもおすすめです。食感がつるつるとしています。
冬顔の洋風煮物
冬顔を少し洋風に煮てみました。クーラーで冷え切った身体を温めましょう。
材料
- 冬顔:10㎝くらい
- ウィンナー:8本
- 水:200㏄
- 料理酒:50㏄
- コンソメキューブ:1個
- 塩:小さじ1/4
- 粗挽き黒コショウ:適量
作り方
- 冬顔を厚めに皮を剥いて、種やワタを取って、3㎝~4㎝幅に切る。ウィンナーは半分に斜め切りにする。
- 鍋に水と料理酒、コンソメキューブ、塩を入れて、中火にする。
- 沸騰したら冬瓜とウィンナーを入れて、蓋をして15分煮る
- 仕上げに粗挽き黒コショウを振りかけて出来上がり!
この煮物は煮た後に一回冷まして食べる前にもう一度温めると、味がさらに染み込んでもっと美味しくなります。
夕顔の油炒め
シンプルだけどとっても美味しい夕顔の油炒めを作ってみましょう。
材料
- 夕顔:20㎝~30㎝
- 酒・みりん・醤油:各大さじ2
- 白ごま:大さじ1
- ごま油:少々
作り方
- 夕顔の皮をむいて種を取り除く。縦5㎝の長さに切って、1㎝くらいに薄切りにする。
- フライパンにサラダ油を熱して、夕顔を痛める。火が通って透き通ってきたら、酒、みりん、醤油を加えて更に炒める。
- 調味料が全体に回ったら白ごまとごま油を加えて軽く炒めて出来上がり。
まとめ
いかがでしたか?今回は夕顔の特徴や花言葉、似た花の特徴、そして夕顔のレシピをご紹介していきました。夕顔は朝顔や昼顔の仲間だと思われていますが、実際はニガウリや冬瓜などと同じ仲間だということがわかったでしょう。
朝顔や昼顔は実をつけませんが、夕顔は美味しい実をつけますので、もし手に入る機会があれば作ってみてください。
関連記事として
これらの記事も読んでみてください!