暖かい季節、春になると小さな白い花を咲かせる「ハルジオン」って知ってますか?公園や家の周り、歩道や川沿いなどでもよく見かける花です。ピンとこない方は「貧乏草」と聞くとどうでしょう?可愛らしい姿の花なのに「貧乏草」だなんて酷い名前があるもんですよね。
一部の地域ではその花を折ったり摘んだりすると貧乏になってしまうと言われている事からこの名がついたそうです。
可愛いらしい花なのに、どこにでも生える力強さもあるハルジオン。実は食べる事も出来るそうなんです!!今回は、ハルジオンの花の特徴や花言葉、おいしい食べ方等いろいろご紹介いたします!
ハルジオンとは
ハルジオン(春紫菀・春紫苑)は北アメリカが原産で、日本では帰化植物となっています。よく似ているヒメジョオンと一緒に、道などいろいろなところで良く見かける植物です。
ハルジオンの原産地・名称
《属名・科名》キク科ムカシヨモギ属
《原産地》北アメリカ
《学名》Erigeron philadelphicus(エリゲロン フィラデルフィクス)
《和名》春紫菀・春紫苑(ハルジオン)
《別名》春女苑(ハルジョオン)・貧乏草(ビンボウグサ)・貧乏花(ビンボウバナ)
《英名》Philadelphia fleabane(フィラデルフィア フリーベイン)、Philadelphia daisy(フィラデルフィア デイジー)
学名のErigeron(エリゲロン)は、ギリシア語で「早朝」を意味しているeriと、「老人」を意味しているgeronという言葉が由来です。花が咲いた後の綿毛が白髭のように見え老人のようだからと言われています。
もともと北アメリカ原産で帰化植物の外来種です。日本には観賞用として大正時代に持ち込まれ、とても強い生命力と繁殖力で日本全国にて4月頃より8月頃まで見られています。
ハルジオンの特徴は?
多年草であり、高さは30cmから80cmくらいに伸びます。根元には長楕円形またはへら型の根出葉があり花が咲く時期にも残っています。茎と葉の色は黄緑色でまばらに毛が生えています。茎自体は枝分かれしませんが、先の方では何度が枝分かれし花を咲かせるようです。
また、白の花とは別に、花びらが少し薄い青やピンク、紫がかるハルジオンもありますが、これは空気が綺麗なところで育っている証しなのだそうです。
ハルジオンの名前の由来
ハルジオンは和名の「春紫菀」で、春に咲くキク科の紫菀(シオン)と言う意味です。同じキク科の秋に咲く紫菀(シオン)にちなみ、春に咲いている紫菀(シオン)なので「春紫菀」と名付けられたと言われています。
ハルジオンまたの花名を「貧乏草」
またハルジオンを別名「貧乏草」と言います。根元さえ残っていればすぐに元気に生えてくる事から名付けられたとも言われています。また、花を摘んでしまったり折ってしまったりすると貧乏になると言い伝えられていたそうです。
そして「手入れをしない貧乏な家でも咲く花だ」や「貧乏でも咲く花」と言うような意味から貧乏草と名付けられてしまったようです。
ハルジオンの外来種問題
日本に1920年頃に観賞用として持ち込まれましたが繁殖力も高く除草剤に耐性するハルジオンが出てきて、関東を中心に全国へと広がっていきました。牧草の生育や農作物の妨害をしてしまう為、邪険な存在とされています。
また生態系などの被害により法律で要注意外来生物に指定されています。日本生態学会では日本における侵略的外来種ワースト100に選ばれてしまっているようです。
人間の身勝手で観賞用として持ってきたのに、人間がまたそれを侵略的外来種にするなんて酷いような切ない気もしますね。
ハルジオンとヒメジョオンの見分け方
ハルジオンとヒメジョオンはとても良く似ていて、混同してしまう人も多いようです。この2種類のそっくりな植物にはどんな違いがあるのか見てみましょう。
漢字で見る違い
- ハルジオン→春紫苑
- ヒメジョオン→姫女苑
と書きます。ハルジオンは春に咲くキク科の花、紫苑の仲間である事からこの漢字が使われています。一方でヒメジョオンは可愛らしさから姫、中国にある花の名前の、女苑から来ていると言われています。
標準の和名は「ハルジオン」ですが同類の「ヒメジョオン」と混ざってしまい「ヒメジオン」と呼んでしまう間違いが多く見られます。また「ハルジオン」を「ハルジョオン」と間違える人も多いようです。名前も見た目も間違われやすい植物同士なのです。
花の咲く時期
- ハルジオン→4月から5月頃
- ヒメジョオン→5月頃から8月頃
ハルジオンとヒメジョオンを微妙に開花時期がずれているとされます。春に咲くのがハルジオンで初夏から秋にかけて咲くのがヒメジョオンです。時期が重なるときがあるので一概には時期だけで判断するのは難しいのですが、夏から秋にかけても咲いているならばそれはヒメジョオンです。ヒメジョオンも非常に強い植物なので、冬まで咲いている場合もあるそうです。
花びらの違い
- ハルジオン→花びらが糸のように細くふわふわした感じで、比較的花びらの数が少ないです。
- ヒメジョオン→花びらに少し幅がありひまわりの花のような細い舌状花を持つ形をしている。花びらの数は多めです。
最近ではデジタルカメラで花をマクロレンズで撮影している人が多いですが、マクロレンズで拡大された写真じゃないとわからないくらい似ています。
色はどちらも白が基本ですが場所や光の加減により薄いピンクに見える事があります。色で判断するのは難しいですが、近くによって見て、花びらがふわふわならハルジオン、ひまわりのような花びらならヒメジョオンと覚えるのがよさそうです。
実際に見て比べたいですが、サイトなどでハルジオンとヒメジョオンの画像を見比べるのも楽しいですよ。
茎や葉の違い(その他)
- ハルジオン→背が低く根元に茎を抱くように葉が付いている。またツボミの状態は下を向いていてうなだれているようである。
- ヒメジョオン→背が高く根元がすっきりしている。葉は茎に対してスッキリと付いている。
背の高さの違いで分かるようですが、これも並んで咲いていればわかりやすいですが個々に見ると難しいですよね。またどうしてもわかりにくい場合は茎を折るとわかります。
ハルジオンは茎の真ん中に空洞があり、ヒメジョオンは空洞がない。しかし、茎を折るのは抵抗がありますよね。できれば見た目で判断するほうがよさそうです。
ハルジオンの花言葉
他の花々は一つの花でも多くの花言葉を持っていますが、ハルジオンの花言葉は色別も無く一つしかないようです。一つしかないなんて力強いハルジオンらしい気もします。
またハルジオンの誕生花、ハルジオンと同じキク科のシオンについても紹介していきましょう。
花言葉は「追想・追憶の愛」
ハルジオンの花言葉は「追想・追憶の愛」です。過去の恋愛や恋の思い出を募らせると言う意味です。道を歩きハルジオンを見ると過ぎ去っていった過去の愛を思い出すと言う意味もあるようです。
なんだかとても切ない花言葉ですよね。また花言葉は神話や伝説などが多く存在していますが、ハルジオンの花言葉には伝説や神話は存在していないようです。
ハルジオンの誕生花と性格特徴
【6月8日生まれ 追想・追憶の愛】
6月8日生まれの人はとても賢く有能で、興味を持つと深く追求しどんな事にも挑戦してこなしていく力があります。一つの事に集中すればするほど専門性が高まりその個性が更に強くなります。しかし無我夢中で物事に取り組みすぎて不器用な面もあるようです。
周囲を見渡して行動する事が出来なくなる為、せっかく今まで頑張ってきたことが何かの拍子で水の泡になってしまう事もあります。夢中になって物事に取り組む事はとても大切ですが、しっかり周囲を見渡しながら準備など進めていきましょう。
またストレスを感じやすいタイプなので、人の上に立つ立場よりも自分の能力を思いきり発揮できる立場が安心し更なる能力を発揮する事が出来るでしょう。
紫苑(シオン)の花言葉
ハルジオンと同じキク科の紫苑(シオン)には二つ花言葉があります。
- 追憶
- あなたを忘れない
花言葉の由来は平安後期の今昔物語にあるようです。
ある兄弟の大切な父親が亡くなり、二人はたいそう悲しんだそうです。二人は墓参りを欠かさなかったのですが、月日が経つにつれ、兄は忙しくなってしまい墓前に忘れ草を植えて以来墓参りに来なくなってしまします。
一方弟はそんな兄に嘆かわしく思いながらも、墓前に思い草(紫苑)を植えていつも欠かさず墓参りを続けました。これを感じ入った鬼が弟に予知能力を与えてくれ、その弟は幸せに暮らしていけました。と言う話が由来していると言います。
紫苑(シオン)英語名での花言葉
紫苑は英語でAster(アスター)と言います。英語での花言葉は、優美、繊細(daintiness)、忍耐(patience)、愛の象徴(symbol of love)です。花言葉と言うのは本来外国から来たものなのです。
日本では西洋文化と共に明治初期頃イギリスから持ち込まれたと言われています。英語による花言葉と日本語の花言葉では同じ花でも意味が違うようです。
同じキク科の紫苑(シオン)とはどんな花?
紫苑(シオン)はキク科シオン属の多年草です。別名はジュウゴヤソウ(十五夜草)、オニシコグサ(鬼の醜草)と呼ばれています。
色は青色や紫色をしていて原産国は日本や中国、シベリア、朝鮮半島と言われていて一番の最盛期は9月です。また誕生花は9月9日、9月28日、10月16日となっています。
食べるとおいしいハルジオンと健康効果
ハルジオンは庭や道端などで多く見かけますが、このハルジオン、実は食べるととてもおいしいらしいのです。確かにキク科ですしキク科と言えば春菊やフキなども馴染みの野菜ですよね。ハルジオンの食べ方や健康効果など解説していきます。
ハルジオンの採取方法、食べれるところ
ハルジオンは結構おいしい野草とされているそうです。柔らかくておいしいハルジオンを食べるには、冬を越したばかりの新芽を採ると良いそうです。花の咲いていないハルジオンを見つけるのは大変なので、花が咲いているハルジオンの側のまだ花を咲かせていない若葉を採るのがおすすめです。
食べられる部位は、茎、新芽、新葉、ツボミも食べれるそうです。つまりは全部食べれるそうなのです。ちなみにハルジオンとそっくりなヒメジョオンもおいしく食べる事が出来るそうです。
ハルジオンの食べ方
ハルジオンはそのまま生でサラダとして食べる事は出来ません。同じキク科の野菜のフキや春菊と同じように少し苦みがあります。その為、天婦羅やお浸しにすると上品でおいしい春の香りを楽しめます。
花びらの部分は天婦羅であればおいしいですが、お浸しだと真ん中の黄色の部分の感触が好き嫌いを分けると思います。お浸しにする場合はアクが強いので少し水にさらしてあく抜きをしてからのほうが食べやすいでしょう。
また油揚げなどと一緒に油炒めにしたりすると苦みが緩和されるようです。小松菜、キャベツ、ホウレンソウなどと混ぜて調理して食べるのもおすすです。
糖尿病に効果がある
ハルジオンの花や葉を乾燥させ、それを煎じて飲むと、むくみ改善や糖尿病予防効果があるお茶になります。普通に食する事でも効果を得る事が出来るようですが、お茶にすることで簡単に摂取して飲みやすくなりますよね。
近年野草や植物による食中毒が多発しています!
安全に食べることができることが確かな植物以外は、絶対に採らない、食べない、人にあげない、売らないようにしましょう。
また人におすそ分けとしてもらった山菜等に有毒な植物が混じっており食中毒になってしまった事例も多く報告されているそうです。
不安で疑わしいものは食べない勇気も必要です。迷ったらお近くの保健所に相談してくださいね。
まとめ
今回はハルジオンの様々な特徴を紹介いたしました。花言葉が少なかったり伝説などが無いのもハルジオンの独特な強さや個性を感じます。
またハルジオンが食せる事にも驚きました。体にも良いし可愛い繊細なハルジオン、貧乏草だなんてもう言わせません!
邪険にしていた人もこの記事をきっかけに少しでもハルジオンの特徴をわかってくれて愛情が湧いてくれたら幸いです。
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