山茶花の花言葉や誕生花としての意味は?名前の由来も紹介!

多くの花の見頃が終わり、庭の景色がすっかり寂しくなった厳寒期に美しい花姿を見せてくれる山茶花(サザンカ)。童謡「たき火」の歌詞にも登場する、まさに日本の冬の風物詩と言える花ですね。年上の世代の方でしたら、演歌の名曲「さざんかの宿」もご存知かと思います。

また、先日開催された平昌オリンピックのテーマソングとなった、SEKAI NO OWARIの「サザンカ」が記憶に残っている方もいらっしゃることでしょう。4年に一度の大舞台に挑むアスリートたち、そして夢を追いかけて頑張っているすべての人たちを勇気づけてくれる曲ですが、実はその歌詞の中に花の名前は一度も登場しません。

では、なぜ「サザンカ」という曲名がつけられたのでしょうか。実際のところはわかりませんが、おそらく山茶花の持つ花言葉が関係しているのではないかと筆者は思っています。

今回の記事は、山茶花に込められた花言葉についてのお話です。

山茶花について

「サザンカ、サザンカ、咲いた道」と、誰もが口ずさんだことがあるほど有名な童謡の歌詞にも登場する山茶花ですが、実は日本で自生しているのはごく一部の地域だけです。歌のおかげで名前は知っているけれど花自体は見たことがない、という方も意外と多いのではないでしょうか。

そんなあなたのために、まず山茶花がどんな植物なのかをご紹介しておきたいと思います。

山茶花の基本情報

  • 学名:Camellia sasanqua
  • 科名・属名:ツバキ科ツバキ属
  • 英名:Sasanqua
  • 別名:姫椿(ひめつばき)
  • 原産国:日本
  • 開花期:10~2月(最盛期は12月頃)
  • 花の色:赤、白、ピンク

山茶花は、日本原産の常緑性の広葉樹です。多くの花々が咲かなくなる晩秋から真冬にかけて咲く、赤や白、ピンク色などの鮮やかで大きな花は、日本の冬に彩りを添えてくれます。

厳冬期に開花期を迎えますが、実は寒さに強い品種というわけではありません。自生しているのは沖縄や九州、四国といった温暖な気候の地域のみで、それ以北で見られることはほとんどないようです。

山茶花の花名の由来

和名の山茶花は、中国でツバキ科の植物を指す「山茶(さんさ)」に由来しており、この漢字の読み方が訛って「サンサカ」となり、次第に「サザンカ」と呼ばれるようになったようです。

また、山茶花は英語でもそのまま「Sasanqua(サザンカ)」です。これは、江戸時代に長崎の出島に赴任したスウェーデン人の医師ツンベルクが、山茶花の美しさに魅せられて自国に持ち帰り、名前ごとヨーロッパに広めたことが由来だと言われています。

山茶花の種類

古くから日本で親しまれているサザンカには、300種以上と多くの園芸品種があり、花の時期や形などから3つの群に分けられています。どんな種類があるのか簡単にご紹介しておきましょう。

■サザンカ群

山茶花の自生種(ヤブサザンカ)を改良して作られた園芸品種で、他より少し早い10月頃に花が咲きます。一重もしくは二重咲きするのが特徴です。

■カンツバキ群

山茶花の園芸品種「獅子頭(カンツバキ)」をさらに改良した品種です。他の品種群よりも花びらの数が多く、豪華な花姿が印象的です。

■ハルサザンカ群

多くの品種が厳冬期に花を咲かせる山茶花ですが、この群は晩冬から春先にかけて開花期を迎えることから「ハルサザンカ」と呼ばれます。椿との交配によって生まれた品種で、花の形や大きさは様々です。

山茶花と間違えやすい花

山茶花はツバキ科の植物で、見た目も椿とよく似ています。もし山茶花と椿が同じ庭に咲いていたら、一瞬見ただけで区別するのは非常に難しいでしょう。

見分けるためのコツは、主に花の咲き方と葉にあります。以下にそれぞれの特徴をまとめてみました。

■山茶花

  • 開花期は10~2月
  • 花びらは大きく完全に開く
  • 花糸(おしべの部分)が離れている
  • 散り際は花びらを一枚ずつ落とす
  • 葉は楕円形で毛があり、縁がギザギザしている

■椿

  • 開花期は12~4月
  • 花びらは完全に開ききらない(カップ状)
  • 花糸がくっついている
  • 散り際は花ごと地面に落ちる
  • 葉は細長く、毛と縁のギザギザがない

山茶花の花言葉

さて、ここからは山茶花の花言葉についてのお話です。

山茶花固有の花言葉というのは、実は日本にしか存在しません。海外でも山茶花は栽培されていますが、椿の仲間はすべて一括りに同じ意味の花言葉(「admiration:敬愛」「perfection:完璧な」)がつけられています。

日本では、山茶花全体としての花言葉のほか、さらに色別での花言葉がありますので、それぞれご紹介いたしましょう。

山茶花全体としての花言葉

山茶花全般を指す花言葉には、以下のようなものがあります。

  • 「困難に打ち克つ」
  • 「ひたむきさ」
  • 「理想の恋」
  • 「ひたむきな愛」
  • 「謙譲」「謙虚」

「困難に打ち克つ」と「ひたむきさ」という花言葉には、山茶花の開花時期が関係しています。先ほどお話したとおり、山茶花は厳冬に最盛期を迎えます。冬の寒さに耐え、大輪の美しい花を咲かせるその健気な姿から、こうした根強さを感じさせる花言葉が生まれたのです。

この花言葉を知ると、冒頭で触れたSEKAI NO OWARIの歌う「サザンカ」が、どうしてこのタイトルになったのかがわかりますよね。実際にそうなのかはわかりませんが、夢に向かって頑張っている人を勇気づける曲の世界観に、山茶花の花言葉はぴったりです。オリンピックが冬季に行われたこととも、関係が深いように感じます。

また、「謙虚」の花言葉は、山茶花が散り際になると花びらを一枚ずつ落とす様が、どこか遠慮がちに見えることが由来だと言われています。

山茶花の色別の花言葉

続いて、山茶花の色別の花言葉は以下のとおりです。

  • 赤:「無垢」「あなたが一番美しい」
  • 白:「愛嬌」「理想の恋」「あなたは私の愛を退ける」
  • ピンク:「永遠の愛」

色別で見ても、やはり一途さやひたむきさを感じさせる花言葉が目立ちますよね。その一方で、そんな想いが報われないかのような悲しい花言葉がつけられているのは一体なぜなのでしょうか。それぞれ由来がありますので、詳しくご紹介しましょう。

【赤】無垢・あなたが一番美しい

花名の由来となった、中国語でツバキ類を指す「山茶(さんさ)」という植物は、もともと山に咲く野草でした。つまり、冬の山の厳しい寒さの中で、その美しい花をひっそりと咲かせていたのです。そんな山茶を見た民衆は、きっと心を打たれたことでしょう。

そうした健気な姿から、「あなたには人々を感動させるだけの魅力があるのだから、もっと自信を持って」という意味も込めて、「あなたが一番美しい」という花言葉が赤い山茶花に与えられたのだそうです。こちらの花言葉も、オリンピックのテーマソングとして「サザンカ」が作られたことと関わりがあるように思えますね。

また、「無垢」は、山茶花と同じく冬に咲く椿との比較から生まれた花言葉だと言われています。山茶花は椿よりも一回りほど小さく、花びらも薄いのが特徴です。また、散り際も椿が花ごとボトッと地面に落ちるのに対し、山茶花は花びらを一枚ずつはらはらと落とします。そうした特徴から、山茶花は「椿よりも無垢で儚げな花」というイメージを持たれたのでしょう。

【白】愛嬌・理想の恋・あなたは私の愛を退ける

華やかな印象を与える赤色の山茶花に対し、白色の山茶花はどこか可愛らしさを感じられます。「愛嬌」という花言葉は、まさにこの花姿に由来します。確かに、白くて丸い形の山茶花が風にふわふわと揺れる様子は、チャーミングな女性のように見えますよね。

また、「理想の恋」は、真っ白な薄い花びらがいくつも重なり合っている様子が「幾度も困難を乗り越えた先にある本当の恋」を連想させるとして生まれた、ロマンチックな花言葉です。

そして「あなたは私の愛を退ける」という悲しい花言葉ですが、こちらははっきりした由来が存在しないのだそうです。

人によって様々な解釈ができますが、筆者としては山茶花全般を指す「ひたむきな愛」という花言葉から、「相手を一途に慕う一方で想いが届かないことへの不安が募り、あらぬ妄想が掻き立てられる」といった様子からこの花言葉が与えられたのではないかと感じました。皆さんはどう思われますか?

【ピンク】永遠の愛

白の山茶花の花言葉「理想の恋」と同じように、花びらが幾重にも重なっている様子を愛情になぞらえた花言葉です。大切な人と一緒にピンクの山茶花を見る機会があるなら、この花言葉をそっと教えてあげると喜んでもらえるのではないでしょうか。

また、ピンクの山茶花は赤い山茶花の色が落ちたことから生まれたため、赤色と同様の花言葉と解釈しても良いそうですよ。

誕生花としての山茶花

ここまでのお話で、山茶花の美しい花姿にはひたむきで一途な想いが込められていることがお分かりいただけたかと思います。花言葉とともに、大切な人へ贈りたくなりますよね。特に夢を追いかけて頑張っている人への「応援歌」ならぬ「応援花」にはぴったりです。

また、男性の方であれば、奥様や彼女に普段はなかなか言えない「君がいちばん綺麗だよ」という台詞を伝えるのにも、山茶花が一役買ってくれるのではないでしょうか。花は美しいだけでなく、贈り主の気持ちもしっかりと伝えてくれるものですよ。

山茶花は寒い季節が見頃の花ですから、冬生まれの方の誕生花となっています。以下に誕生月ごとの日付をまとめてみましたので、誕生日の贈り物をする際の参考にしてみてくださいね。

  • 10月:30日
  • 11月:3日、5日、9日、16日、27日
  • 12月:4日、10日、29日

まとめ

今回の記事では、日本の冬の風物詩としても知られる山茶花の花言葉についてご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?

山茶花は、咲き誇る美しい姿はもちろん、散り際の儚さまでもが花言葉の由来となっています。冬の寒さの中で、その命の限り人々の心を惹き付ける様は、まさに自分の夢に向かってひたむきに情熱を注ぐ人たちのようですよね。

皆さんも山茶花の花を見かけたら、ぜひこの花言葉を思い出してみてください。寒空の下でも凛として咲く花姿と相まって、困難に打ち勝つ勇気を与えてくれることでしょう。

最後までご拝読いただき、ありがとうございました。

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