紫苑の花言葉や意味を知ろう!勿忘草とは別物なの?

花にはそれぞれ花言葉というものがあります。その花言葉を知ることで、誰かに花束を贈ったりするときに相手への想いを込めやすくなります。

さらにその花言葉にはそれぞれ由来があり、素敵な由来だったり、反対に悲しい由来だったり、色々な由来を持っています。そのため、花言葉を知らずに相手に花を贈ると相手に誤解されてしまうおそれがあります。

今回は秋口によく見られる紫苑の花言葉について調べてみました。紫苑には実は悲しい物語があったのです。

紫苑の花はどんな花?

紫苑の花は秋に見られる紫色の花なのですが、どんな花なのでしょうか。

紫苑の花の特徴

紫苑の花はキク科シオン属の多年草で、十五夜草(ジュウゴヤソウ)や鬼の醜草(オニノシコグサ)、思い草(オモイグサ)などの別名がついています。英語名はタータリアン・アスター(星)です。中国地方や九州、中国、朝鮮半島、シベリアなどが減産です。

また、9月9日や9月20日、9月28日、10月16日生まれの人の誕生花に指定されています。

薄緑の舌状の花びらが並び、真ん中は黄色の筒状になっています。観賞用の花としてよく栽培されており、杏蘇散(きょうそさん)など漢方の材料としてもよく使われています。

紫苑の悲しい物語

紫苑は実はある2人の兄弟の悲しい物語が由来になっています。平安時代後期に書かれた今昔物語集という長編説話集に、紫苑の花が出てくる説話があります。その題は「兄弟二人、萱草・紫苑を植える語り」といいます。これは父親を亡くした兄弟のストーリーです。

昔あるところに、仲睦まじい2人の兄弟と父親がいました。ある日、父親は重い病気になり、そのまま亡くなってしまいます。兄弟は心をこめて父親を弔い、雨の日も風の日も台風の日も毎日お墓参りを続けました。

しかししばらくして兄は仕事が忙しくなってしまい、墓参りをすることができなくなってしまいます。

兄は亡くなった父親に対する悲しみと、父親の墓参りができない不甲斐なさを忘れるために忘れ草(萱草)を父親の墓前に植えました。その後兄は父親の死の悲しみから立ち直ることができたのです。

弟はいつまでも父親を忘れないために墓前に忘れぬ草(紫苑)を植えて、墓参りを毎日欠かさず続けました。

ある日の夜、弟の夢の中に父親の墓を守っている鬼が出てきました。どんなに年月が経っても父親を思う気持ちが変わらない弟の姿に感銘を受けた鬼は、弟に明日起こることが前日の夜にわかるという能力を授けました。

そして、弟はその力により幸せに暮らしていきました。このようなことから嬉しいことや良いことがある人は忘れぬ草(紫苑)を植えて、悲しいことや辛いことがある人は忘れ草(萱草)を植えていつも見るといいという言い伝えがあります。

紫苑の花言葉について

では紫苑にはどのような花言葉があるのでしょうか。ここでは紫苑の花言葉を見ていきましょう。

君を忘れない

この花言葉は先述した今昔物語が由来です。今昔物語の花で、弟が、紫苑の花を「見た人の心にあるものを絶対に忘れさせない力を持つ花」と紹介しています。父親の墓前に植えて、お墓参りをし続けることで、父親を弔い続けているのです。

紫苑は薄紫の花で柔らかい雰囲気があり、見る人の心を落ち着かせる能力があります。キク科の花で控えめな香りをしているので、仏花としてもよく用いられています。墓前やお仏壇に供えられることが多いのはこの相手を忘れないという故人への想いにも当てはまる花言葉が関係しているのです。

追憶

この追憶という花言葉も今昔物語に由来しています。昔のことを思い出して偲ぶことを追憶と言います。故人との楽しかった出来事や思い出などを思い出して懐かしむような気持ちは紫苑が持つ花言葉のイメージにぴったりです。

紫苑は秋に野原や野山など自然が多いところで自生しています。そのため、田舎に咲いているイメージが強いです。紫苑の花をみることで、懐かしい気持ちがこみあげてくると言われています。幼少時によく遊んでいたところに咲く紫苑の花を見て懐かしく思う人々の気持ちが花言葉になったのです。

遠い人を思う

作中では兄弟が父親の死を忍んでいます。このよう遠い人は故人や遠方に住んでいる人、なかなか会うことができない人、関係が親密でない人など、物理的に会えない人や、気持ちに距離がある人という意味があるようです。

単身赴任や遠距離恋愛などの理由で、大切な人と遠く離れているなら、自分の部屋に紫苑の花を飾って恋人への愛情を忘れないようにしましょう。

また、好きな人と接点が少なく、なかなか会うことができない関係でも好きな気持ちを忘れないように紫苑の花を見て再確認しましょう。

どこまでも清く

紫苑は名前の通り薄紫色の花がメジャーですが、白い花を咲かせる品種もあります。白い紫苑の花には「どこまでも清く」という意味があります。小さい白い花をたくさんつける紫苑の花は真ん中の黄色いところとのコントラストが美しく、清純なイメージの花言葉がつけられるようになりました。

喜びをください

あまり知られていないのですが、「喜びをください」という意味の花言葉があります。紫苑の根っこの部分は漢方の材料となり、日本でも流通しています。

薬効は去痰や咳止め、利尿作用などがあります。煎じて服用するのですが、なめたときに少し甘味を感じ、後から苦味がきます。

慢性の咳や、痰切、長引く咳などに用いることが多いです。紫苑にはサポニンという有効成分が含まれており、気道粘膜の分泌を促進させて、痰を出しやすくします。

紫苑は辛い咳の症状を改善する効果があるため、病気を治して喜びをもたらす花としてこの花言葉が生まれました。

花言葉の由来について

紫苑の花言葉は今昔物語に由来しているものが多いです。物語に鬼が登場するため、紫苑は先述したように「鬼の醜草()おにのしこくさ」とも呼ばれています。

醜いという文字は悪いイメージがありますが、実は、醜いという字は強いという意味で使われています。今昔物語に出てくる鬼は父親の墓前を守っていますからね。

実際野山で見かけるような紫苑はとても丈夫で、台風シーズンである9月~10月頃に咲き、台風や雨にも負けない強い生命力を持っています。

記憶は年月とともに薄れゆき、本人が想ってもいないように改変されたりします。子どものころに感動した思い出は大人になるとはっきりとは思い出せないものです。

昔の人は過去の記憶をずっと覚えていたいという気持ちを生命力豊かな紫苑の姿を見て「絶対に忘れない」と自分自身に誓って、その印象が花言葉となったのです。

勿忘草と紫苑は同じもの?

紫苑は今昔物語の作中で弟が紫苑のことを「忘れぬ草」と紹介しています。この忘れぬという言葉から「勿忘草」をイメージする人もいると思います。この2つは同じものなのでしょうか。

勿忘草とは全くの別物

勿忘草と紫苑は全くの別物です。勿忘草は春先に青く小さい花を咲かせます。英名は「Forget me not(私を忘れないで)」となり、この英名が日本名の由来となっています。勿忘草は相手が自分のことをどうか忘れないようにという気持ちが込められています。

それに対して紫苑は先述した花言葉でもわかるように自分が特定の人物のことを絶対に忘れないという決意が込められています。花言葉から考えると、「忘れない」の対象が異なることがわかります。

開花の時期も勿忘草は春、紫苑は秋で全く違います。

紫苑は贈り物にできる?

紫苑は仏花としてお供えされることが多いため、贈り物には向いていないと思われやすいです。しかし、実はお世話になった人への花束やプレゼントに向いています。

紫苑で想いを伝えて

紫苑の花はその花言葉から、好きな人や遠くにいる人への贈り物としてぴったりです。鼻を贈るときに、花言葉を伝えればとても喜ばれるでしょう。小さくて淡い色の花なので、他の秋に咲く花にと合わせて花束にしたり、フラワーアレンジメントにすると喜ばれるでしょう。

花の背丈が高いため、切り花で流通されていることがほとんどで鉢植えを探すのは難しいです。

遠くに住んでいる人に対しては生花を贈るのは難しいですので、紫苑の花の色のアイテムを贈るのもおすすめです。日本の色彩は細かく、紫苑色という紫苑の花の色をした淡い青紫色のアイテムがあります。

特に和風の小物に使われていることが多いため、雑貨屋さんで探してみると良いでしょう。便箋や封筒などに紫苑色を取り入れるのもおすすめです。

プリザーブドフラワーもおすすめ

紫苑の花はフラワーアレンジメントでも生花だけでなく、ドライフラワーやプリザーブドフラワーとして使われることがあります。リースの形をしたものや、花束になったドライフラワーは生花よりも長持ちし、秋から冬の間楽しむことができるのです。

また、プリザーブドフラワーは半永久的に綺麗なままなので、遺影や仏壇のお供え用としても販売されています。生花と比べて水をかえる手間もないため、高齢者や忙しい人におすすめです。

紫苑が誕生花の人は一途な人が多い

紫苑が誕生花である9月9日や9月20日、9月28日、10月16日が誕生日の人は、その花言葉の通り、一途で心に決めた人への想いを突き通すところがあります。

また、小さな花が集まって咲く紫苑のように協調性があり、誰とでも仲良くなれるように心がけています。苦手な相手でも会話をすることができ、盛り上げ役になれるムードメーカータイプです。

恋愛に対しても一途で、相手の心を捕らえて話さないため、一度決めた相手と添い遂げることができます。

結婚では国際結婚や年の差婚、再婚同士などになることも多く、距離のある相手との縁が不思議と深いと言えます。

まとめ

いかがでしたか?今回は紫苑の特徴や花言葉などについてご紹介していきました。紫苑がお仏壇や墓前によく供えられるのは、故人への想いを忘れないための先人たちの想いから来ているのです。

紫苑は故人だけでなく生きている大切な人に対しての贈り物にもぴったりですので、ぜひなかなか会えない人に対して気持ちを伝えるために贈ってみてください。

関連記事として、

ラベンダーの花言葉の由来や意味は?歴史も知っておこう!

菫(スミレ)の花言葉や誕生花、名前の由来を知っておこう!

これらの記事も読んでみて下さい!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする