ギフテッドとは?種類や原因、10個の特徴を紹介!

皆さんは、「ギフテッド」と呼ばれる人たちの存在を知っていますか?

ギフテッドとは、先天的に高度な知的能力が備わっている人たちのこと。学問や芸術の分野で類まれな才能を発揮して、幼い頃から「天才児」などと高く評価されることもしばしばです。

「いいなぁ。生まれつき才能があったら、みんなにちやほやされそう!」そんなふうに感じる人もいらっしゃることでしょう。一見すると恵まれているように思えるギフテッドの子どもたちですが、実際は様々な問題を抱えていることも多いんです。

日本では、まだあまり浸透していないギフテッド。今回の記事では、そんなギフテッドの子どもたちの特徴や、才能の伸ばし方、抱えやすい問題などについて詳しく解説していきたいと思います。

ギフテッドとは?

「ギフテッド(Gifted)」という言葉の由来は、英語で贈り物を意味する「Gift」。つまり、ギフテッドとは「天から授かった才能を持つ人」という意味なんです。

では、ギフテッドとは、一体どのような人たちのことを指すのでしょうか。

ギフテッド(英:Gifted,Intellectual giftedness)は、先天的に、平均よりも、顕著に高度な知的能力を持っている人のこと。

外部に対する世間的な成功を収めることではなく、内在的な学習の素質、生まれつきの学習能力を持つことを指す。

1993年、アメリカ教育省は、ギフテッドを「ギフテッドとは、同世代の子供と比較して、並外れた成果を出せる程、突出した才能を持つ子供のことである。」と定義している。ギフテッドにおける高度な知的能力の傾向は、誕生時点から、生涯にかけて見られる。

引用元:wikipedia

一般的に、ギフテッドは「先天的に飛び抜けて高い知的能力を兼ね備えている人」のことであると定義されています。

しかし、この定義は国や地域によっても違いがあり、全世界共通ではありません。アメリカでは上記の教育省の定義のほか、州ごとでも異なる基準が設けられているそうです。

ギフテッドが生まれる原因

ギフテッドの子どもが持つ優れた能力は、両親からの遺伝などによる先天的なものなのか、あるいは環境などの後天的なものなのか、という議論は、長年にわたって研究されてきました。しかし、決着はまだついていません。

「遺伝と環境、両方の影響を受けている」というのが現段階での答えで、どちらの方が大きく影響するのかは明らかになっていないのだそうです。

ギフテッドの才能

ギフテッドは、主に以下の6つの分野において、幼児期から高度な才能を発揮します。

  • 学問
  • 言語能力
  • 記憶力
  • 芸術性
  • 創造性

欧米では、特に芸術分野に優れている人を「タレンテッド(Talented)」、学術的な才能に優れている人を「ギフテッド(Gifted)」と区別していますが、日本ではどの分野に長けているかにかかわらず「ギフテッド」と呼ぶことが多いようです。

ギフテッドの割合

では、こうした特殊な才能を持った子どもは、どれくらいいるのでしょうか。

アメリカで実施された調査によると、学齢期の子どもの6~10%がギフテッドであると推定されているそうです。

これは、1クラスに少なくとも1人はギフテッドの子がいるということ。もしかしたら、あなたのクラスにいた「ものすごく算数が得意な子」や「先生も驚くほど絵が上手な子」・・・もしかしたら、彼らもギフテッドだったのかもしれません。

そう考えてみると、ギフテッドは決して特別な存在ではないような気がしますよね。

ギフテッドの診断・判定方法

ギフテッドと判定するには、まず知能テストでIQを調べる必要があります。

一般的に、ギフテッドのIQは130(上位2.1%)とされていますが、ギフテッドの中でもIQによってさらに細かくレベルが分かれています。

  • 中程度にギフテッド:130以上(上位2.1%、50人に1人)
  • 高度にギフテッド:145以上(上位0.1%、1000人に1人)
  • 並外れたギフテッド:160以上(上位0.003%、3万人に1人)
  • 完全なギフテッド:175以上(上位0.00003%、3百万人に1人)

ただし、人間の知能にはIQだけでは測ることのできない芸術性や創造力、思考なども含まれるため、IQテストのみでギフテッドと判定することには賛否両論があります。

そのため、子どもと一緒に遊んだり、本人や家族にヒアリングをする中でギフテッドの特性を見ていく「QAメソッド」という方法を組み合わせて、総合的に判定することが多いようです。

ギフテッドとアスペルガー症候群

アスペルガー症候群は発達障害の一つで、コミュニケーション能力や社会性、想像力に障害が見られるのが特徴です。言葉や身振り手振りで人とコミュニケーションを図ったり、他人の気持ちや場の空気を察したりすることが難しく、社会生活や対人関係に支障をきたしやすいとされています。

また、アスペルガー症候群の子どもの中には、ある特定の物事に対する強いこだわりを見せる子も多くいます。これはギフテッドの子どもにも共通する特徴であり、全く異なる概念にもかかわらず、ギフテッドがアスペルガー症候群と診断されるケースも珍しくないといいます。

ギフテッドの種類

ギフテッドの子どもたちは、能力の発達具合で2つのタイプに分けられます。1つは全般的に高い能力値を示す「英才」、そしてもう1つは得意分野と不得意分野の両方を併せ持つ「2E」です。

では、それぞれのタイプの特徴を見ていきましょう。

【英才】全体的に知能が高い

英才とは、「言語的認知」「空間認知」「記憶」など、全体的に高い知能を持った子どものことを指します。不得意な分野が少なく、何をやらせても人並み以上の成果をサラッと出してしまう・・・そんな感じの子を想像していただければと思います。

東大生の知能指数(IQ)は平均120と言われていますが、英才の子どもたちはIQ130を超えていることも珍しくありません。

10歳にも満たないうちに大学の試験に合格したり、数ヶ国語を自在に話すなど、世界的に話題となる天才児もこのタイプが多いのだとか。

【2E】能力に著しい偏りがある

2Eとは、「二重に例外的な」と言う意味のある「twice-exceptional」の略称。ギフテッドの中でも、ある特定の分野ではずば抜けた才能を発揮できる一方で、その他の能力は平均以下、といったような著しい能力差が見られる子どもを指します。

2Eの子どもたちは学習障害や広汎性発達障害を併発しているケースも多く、得意分野では類まれな才能を見せるものの、それ以外の分野では同年代の平均的な子どもと比べてできないことが目立つため、周囲から落ちこぼれの烙印を押されてしまうこともしばしばあるようです。

ギフテッドにみられる10の特徴

ギフテッドの人たちは、どこか中性的な顔立ちをした美男美女が多いのだとか。また、大人になってからは実年齢よりも若く見られると言います。

才能があるうえに顔まで良いなんて、ギフテッドの人たちは順風満帆な人生を送れるに違いない・・・そんなふうに思う人もいらっしゃるでしょう。しかし、ギフテッドは決して完璧人間ではありません。強い個性を持つために、人にはなかなか理解されない苦労を抱えている人も多いのです。

続いては、ギフテッドの人たちに幼児期のうちから見られる、10の特徴をご紹介していきます。

①記憶力が非常に高い

普通の人の脳には限界があり、これまで学んだことや経験したことのすべてを覚えておくことはほぼ不可能に近いです。一方、ギフテッドの多くは並外れて記憶力が高く、一度覚えたことは忘れません。普通なら忘れてしまうような昔の出来事も、鮮明に覚えています。

ただし、能力には大きな個人差があり、物事を多岐にわたって記憶している子もいれば、興味がある特定の物事しか覚えていない子もいるようです。

②洞察力・推理力に優れている

幼い頃から優れた洞察力・推理力を発揮するのも、ギフテッドに見られる特徴の一つ。

私たち大人でも難しい数学の証明を小学生くらいの年齢のうちに理解したり、チェスの大会で大人を次々と負かして優勝してしまうような子どももいます。

③集中力が高い

ある遊びに夢中になっていたかと思ったら、もう隣の子どもの持っているおもちゃに興味津々・・・小さな子どもを見ていると、よくこんな光景を目にしますね。一般的には、低年齢の子どもほど、集中力が持続する時間が短いと言われています。

一方、ギフテッドの子どもは普通の子に比べて集中力が高く、特に自分が好きな分野、得意な分野では、長時間集中して取り組む姿が見られます。

ただし、興味を惹かれた物事に対しては飽きるということがないので、ひとたび集中するとそれ以外のことを忘れて没頭してしまうこともしばしばです。周りが別の行動を始めても、自分は好きなことを続けるなど、集団生活においては「自分勝手な子」という印象を持たれることもあります。

④学習速度が速い

ギフテッドの子どもは、その集中力を発揮して、得意分野の学習に熱心に取り組みます。また、一度理解した知識を応用することも得意です。そのため、周囲の子どもたちが数回の授業で習得するような内容をたったの一回で覚えてしまうなど、学習速度もずば抜けて速いです。

ただし、普通の子どもたちと一緒に学習していると、学習速度の差が大きすぎて、授業がつまらなく感じられてしまうことも。一人で教科書の別のページを読んだり、テストに真剣に取り組まない・・・など、不真面目な態度を見せる子もいます。

その結果、教師からは「やる気がない」「怠けている」とみなされ、通知表では意欲や関心の面がマイナスされて実力より低い評価をされることがあります。

⑤年齢のわりに語彙が多く、精神年齢が高い

ギフテッドの子どもたちは、幼い頃から「何かを学ぶこと」にとても熱心。周囲の大人の会話やテレビ、本などからたくさんの知識を吸収していくので、同年代の子どもと比べて語彙も豊富で、精神年齢も高い傾向があります。

そのため、子どもらしくない発言をして大人たちを驚かせることもしばしば。同級生たちの話すことは幼稚でつまらないと感じ、大人とばかり会話をしたがる子も少なくないようです。

ギフテッドの子どもは、普段からパズルや読書などをして一人で遊ぶことを好むところがあると言われますが、これは周りの子どもたちとのズレを感じているせいなのかもしれませんね。

⑥知的好奇心・探求心が旺盛

ギフテッドが持つ高い学習能力の源、それは「もっと知りたい!」という強い気持ちです。自分で発見したり、問題を解決することに、学ぶことの楽しさを見出します。

そのため、得意な分野では、学校で用意されたプログラムどおりに学んでいくよりも、自分の意思でどんどん先へ学習をすすめていくことができるのです。

⑦正義感が強い

ギフテッドの子どもたちは、決められている規則やルールをしっかり守る傾向があります。順番を守る、挨拶をする、人の話を静かに聞く・・・といった社会生活において守るべきことを、幼い頃からよく把握していており、それに反することは許せません。

ただし、いくら決まり事であっても、一貫性のないことや理不尽だと感じたことに対しては疑問を持つことがあり、大人相手にも自分が納得するまで議論を交わそうとすることも。

また、社会情勢に高い関心を寄せる子も多く、独自の意見を述べて周囲を驚かせることも少なくないようです。

⑧感覚・感情が過敏(OE)である

OEとは、「刺激に対する並ならない反応」を意味する「Overexcitabilities」の略称で、日本語では「過度激動」といいます。

たとえば、人の足音やドアを閉める音などの生活音に体が反応して眠れなくなったり、花の匂いに頭痛や吐き気をもよおしたり、少しの痛みが激痛に感じられる・・・など、ギフテッドの子どもたちは五感や感情が普通の人よりも敏感な傾向があります。そのため、人よりも疲れやすいのも特徴です。

ギフテッド教育の専門家はドンブロフスキは、このOEを「精神運動性OE」「知覚性OE」「想像性OE」「知性OE」「感情性OE」の5つに分類しており、どの分野のOEが顕著であるかは個人差があるとしています。

⑨想像力豊かで独創性がある

ギフテッドの子どもたちは、いわゆる天才肌。独自の解き方で算数の問題を解くなど他の子たちが考えつかないような理論を展開する子、常識にとらわれない自由な色使いで絵を描く子など、それぞれユニークな個性を持っています。

しかし、個性が強すぎるために周囲に受け入れられにくく、孤立してしまうことも少なくありません。

⑩完璧主義

人より優れた能力を持っているギフテッドですが、こだわりが強く完璧主義。ちょっとしたミスがいつまでも気になりやすく、いくら周囲が褒めても自分が納得できる結果でないと満足することができません。

そのため、自己肯定感が低く、本来の素晴らしい能力を発揮できない子も多くいます。

ギフテッドの才能を伸ばすには

今回の記事をご覧いただいて「うちの子、もしかしたらギフテッドなのかも・・・?」と感じた人もいらしゃるかもしれませんね。ギフテッドは1クラスに1人くらいの割合で存在すると言われていますから、自分の子どもがギフテッドであっても不思議ではないのです。

では、自分の子どもがギフテッドの場合は、どうしたら良いのでしょうか。

ギフテッドの子どもは類まれな才能を持つ反面、同じ年代の子どもや一般的な学校教育になじめず孤立してしまうこともしばしばです。また、海外と比べると、日本ではまだギフテッドの子どもたちへの支援体制や教育法が整っていません。そのため、本来の能力が発揮されないまま、生き辛さだけを感じて暮らしている子も多くいます。

そんなギフテッドの子どもを理解し、支えてあげられるのは、いちばん近くにいる両親です。家庭の中で才能や個性を伸ばしてあげられるようサポートしながら、心身ともに健全な成長を目指していきましょう。

新しいことにチャレンジする

ギフテッド教育では、「苦手なこと」より「得意なこと」に注目し、その能力を伸ばすことを最も大切にしています。つまり、ギフテッドの才能を伸ばすには、まず第一に「どんな能力があるのか」を見つけてあげる必要があります。子どもが何に強みを持つのかわかっていない場合は、特性に合った支援がなされず、せっかくの才能が埋もれてしまうのです。

子どもの持つ能力を確かめるには、好奇心・探求心を刺激するような様々なことにチャレンジしてみると良いでしょう。具体的な例をいくつかご紹介しておきます。

  • 科学館、美術館、博物館などを訪れる
  • 音楽や絵画など、芸術的な分野に挑戦する
  • 色々なジャンルの本を読む
  • キャンプに参加する

中には、周りの子どもたちとはまったく異なる分野に興味を示す子もいるでしょう。しかし、興味の対象が変わっているからといって、取り上げてしまうのはいけません。「もっと知りたい!」という子どもの気持ちを尊重してあげるようにしましょう。

頑張りを認める

とても子供とは思えないほどの成果を上げたり、同級生たちよりもずっと高度なことに取り組んでいたり・・・残念なことに、そんなギフテッドの子どもに理解を示す人は多くありません。これもギフテッドが自己肯定感を持てない理由の一つなのではないかと思います。

子どもが興味を持った分野に熱心に取り組んでいたり、良い成績を出したら、その頑張りを認めてたくさん褒めてあげましょう。たとえ親でも理解が難しいような内容でも、関心を持って聞いてあげてください。また、子どもと論議を交わすことも、才能を伸ばすのに効果的だと言われています。

チームプレイを経験させる

一つの分野に熱心になりすぎて、集団から孤立してしまいやすいギフテッドの子どもたち。学校や社会で対人関係で悩みや問題を抱えることがないよう、小さいうちから集団で行動する経験をさせておくことをおすすめします。

スポーツや演劇、楽器のアンサンブルなど、チームプレイが求められる場に参加する機会を積極的に与えてあげてください。ギフテッドはもともと高い運動能力が備わっていることが多いため、特にスポーツは才能を伸ばすうえでも良い経験となるのだそうです。

子どものペースに合わせる

そんなギフテッドへの理解が進んでいるアメリカの学校では、飛び級などの早期履修や、得意科目を集中的に学べる強化履修が導入されているそうです。

しかし、現在の日本では、そこまでギフテッド向けの教育体制は整っていません。そのため、通常の授業では物足りず、もっと学習したいという意欲を見せる子もいるでしょう。

そんな時、「あなたのクラスでは今これを習っているのだから、先へ進んではダメ」といったように、無理に周囲と足並みを揃えるようなことはせず、子どものペースを尊重してください。

学校の授業だけで満たされない場合は、その道の専門家やプロと話せるイベントに参加したり、コンテストに出場させるなど、好奇心・探求心が刺激される場を与えてあげましょう。

まとめ

今回の記事では、「ギフテッド」と呼ばれる素晴らしい才能を持った子どもたちの特徴や、才能を伸ばす方法などについてお伝えしてまいりましたが、いかがでしたでしょうか?

周囲よりも優れた能力があるために、変わり者扱いをされたり、孤立してしまうことも多いギフテッドの子どもたち。特に「出る杭は打たれる」風習が強く残る日本では、生きづらさを感じている子が多いのではないかと思います。

その名前の由来のとおり、ギフテッドの才能は、神様から与えられた特別なギフト。その子だけが持つ輝きが誤解や偏見によって失われることなく、得意なことをどんどん伸ばして活躍できるような教育や支援の仕組みが整うと良いですね。

最後までご拝読いただき、ありがとうございました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする