共感覚を判断するテストの方法を紹介!共感覚の特徴って?

共感覚という言葉を皆様はご存じでしょうか?共感覚とは、ある刺激に対して通常の感覚だけでなく、異なる種類の感覚をも生じさせる、一部の人に見られる特殊な知覚現象のことを言います。例えば、ある数字を見ますと赤や緑などの色が付いているように感じたり、音楽を聞いたときなどに色彩を頭に思い描いたりします。

他にも、梅干しを食べたときに、酸っぱくて米印のような口を窄めた形を頭の中で感じる共感覚もあります。これは、味覚の情報から触覚が呼び起こされていると言えます。以上のように、視覚情報や聴覚情報から色覚を呼び起こされたり、味覚の情報から触覚を感じ取ることが出来たりなどの能力を、共感覚と呼んでいます。

共感覚の主な特徴

まず、共感覚の特徴についてですが、頭で考えて又は意識してコントロールすることは不可能であるということです。決まった状況や条件下で感じるものではなく、所構わず前触れ無しに突如として頭に思い浮かぶ感覚です。それから、幼少時から継続して見られる症状で、年齢を重ねれば変化するといったものでもありません。

あと、何らかの物質的なモノや過去の経験とも繋がりません。ただ共感覚は、好き嫌いや気分の良し悪しの感情が伴います。大まかではありますが、日本人の場合は約1000人~2000人に1人は共感覚という能力を有していると言われています。

近年ようやく、この共感覚という能力について、科学者たちが実験の対象として取り扱うようになってきました。一時は想像力が豊か過ぎて注目されたい人による幻想や、薬物の依存だと決めつけられて据え置きになっていました。しかし、幻想や薬物の依存というだけでは説明のつかないことが多いので現在、改めて共感覚の検証を実施中です。

共感覚の主な種類

まず最初に絶対音感を持っている人は、共感覚の能力も共有していることが多いとされています。その共感覚ですが、実に数多くの種類があります。その数多ある種類の中で最も随処に現れるのが、聴覚から成るものです。

先ほど記しました絶対音感というものは、耳に入る音を音階として認識が出来る能力でして、車のエンジン音、スマホの着信音、海の波打つ音など、あらゆる音を特定の音階データとして変換することが可能だと言います。ですので絶対音感の持ち主は、原因こそ判りませんが、それらの音をギターやピアノなどで再現することが出来るのです。

また、聴覚以外で、人の名前を記憶したり、連絡先を覚えたりするときにも共感覚は役立ちます。姿や形だけではなく、同時に色や香りや電話番号などと共に覚えることで、脳内に格納し易くなると言います。さて、それでは数多く存在するとされている、共感覚の種類を各パターン別に見ていきましょう。

数字に色が見えるパターン

共感覚の持ち主の中でも、数字を色として認識が可能な人も存在します。単に数字として見ることやサイコロ目、玉数といったような数字ではありません。ある形として数字を判断する場合、大きさや目に見える個数などを色の感覚と連動しているのだそうです。

つまり、数字列形の共感覚がある人間には、数学の教科書に記載されている数式が立体的に見えたりします。ちなみに、色だけではなく数字を触って数を認識するという多様性もあります。

文字に色が見えるパターン

共感覚の持ち主に最も多いパターンが、文字を見たら色が付いているというケースです。どちらかと言いますと、アジアの人より欧米人の共感覚の持ち主に多い傾向があります。おそらく、表記言語の違いが関係しているのでしょう。

例えば英語圏に在住の人であれば、アルファベットの26文字です。それほど複雑でもない表記文字なので脳の負担も軽いと思われますが、日本のように漢数字を含む3種類の文字を用いる国の人が、文字を色で認識するのは困難です。

音質に色が見えるパターン

先述した通り、音の場合は音階という文字に変換が可能な絶対音感もありますし、色で音を判別する色聴という能力を持ち合せている人が居ます。また、音階を色でイメージして奏でることが出来る人や、曲調そのものに何らかの色合いを感じる人も居ます。

それらは、共感覚に近い感性を備えている人以外には、曖昧に感じられることでしょう。共感覚を持つ人の類似点としまして、通常の感覚と別に生じた感覚においては、間違うことは無いという点です。

人格に色が見えるパターン

共感覚を持つ人が、スピリチュアルな能力も備えているとは限りません。しかし、人間の姿や形、性格的な部分が色として見えてくるという人は実在します。よくオーラと間違われるようですが、オーラの場合は視覚よりも相手の持つ気を体全体で感じとる能力のため、共感覚とは異なります。

それに、オーラの類いのものを感じとるのであれば、ある程度まではトレーニングや訓練によっても養われますが、共感覚に至っては先天的に備わっているか否かで決まることが殆どですので、根本的に異なります。

共感覚テスト判断

共感覚の有無については現在、たくさんの書籍が出回っていて、結構インターネットの世界でも話題になっています。ですので、共感覚が自分にあるかないかについて、診断するサイトなども増えてきています。共感覚は元々、本人がどのように感じているかに重点をおいていたため、客観的に測定することが難しいと言われてきました。

ですが、時を経て段々と研究者達によって、共感覚か否かを測定する手法が確立されてきました。まず、通常の感覚以外に何も感じなければ、共感覚を持ち合せていないと思われます。ですが、例を挙げますと女性からの声援のことを「黄色い声」と表現しますし、女性の香水の匂いを「甘い香り」と言います。

そのような発想を思いつく感性がありましたら、共感覚を備え持つ人物である可能性があるかも知れません。ここでは、文字を見たときに色を感じる共感覚を参考にして、最も一般的な共感覚テスト診断の方法を3つご紹介します。

同時性の測定テスト

共感覚を持つ人なら「Aは何色に見えますか?」という質問に対して「AはアップルのAだから赤色?」とか、考えたり関連性を結びつけながら答えるようなことはありません。つまり、共感覚者であれば理由や関連性など無く即答で「青色です!」と無意識に、質問が終わるのと同時ぐらいの速度で答えます。

現在、実施されている検査には、この同時性を正確に測定するため敢えて、色付きの文字を見せて何色かを質問するテストがあります。そのテストの場合、共感覚で無い人は見えている色を、そのまま答えるだけですので回答時間は当然速くなります。

ですが逆に共感覚の人は、文字に付いている現実の色と頭に思い浮かぶ色とが混ざってしまい、回答に時間が掛かってしまうのです。これは、決して色覚障害などではありません。共感覚を持ち合せているということは、日常生活に何ら支障などは無く、一般人の感覚にプラスして別の特別な感覚を兼備しているだけなのです。

一貫性の測定テスト

共感覚を持つ人は、年月や時間が経過しても一貫性があります。要するに、その日の体調や天気で感覚が変わるのであれば、共感覚は持ち合せていないことになります。その点を踏まえて、文字に対して色を感じる共感覚があるかどうかを確かめるために、次のような手法も用いられます。

膨大な色のパターンがある虹色のパネルを用意して、今まさに見えている色を選択してもらいます。それから時間を少しおいてみます。そして、先程と同様に同じ色文字を見せて色を選択してもらい、どれだけ前回選んだ色と近いかを調べます。

優れた記憶能力を持つ人からは、以前に選択した色を覚えているだけだと批判されそうですが、黄色・青色・茶色と答えるのではなく、膨大な数の同じような色をグラデーション状に用意した色も含めたパネルから選択しています。従いまして、ただ記憶力が良いというだけで答えるのは、相当に困難な測定テストと言えます。

脳領域の測定テスト

私たち人間の脳は、多様な情報を処理するために、それぞれの情報を各領域で処理するような仕組みで構成されております。例えば、文字を読むときに活発になる領域と、色を見たときに活発になる領域が分かれています。殆どの人は、文字を読むときに色に関する脳の領域が活発化することはありません。

しかし、文字に色がついて見える共感覚の人は、文字を読むだけで色に関する脳の領域も活性化する傾向があります。この脳領域の測定テストを実施する際は、特殊な機械を使用します。その特殊な機械で、色を見たときに活性化する脳領域が、文字を読んでいるときにも反応しているかどうかを測定するものです。

新生児の場合は、脳の領域同士の結びつきが過剰な状態で生まれます。多くは成長するに伴って、その過剰な結びつきを減らしますが、共感覚の人は結びつきを減らしきれていないという見解でも研究中だとのことです。

まとめ

今回の記事では共感覚の種類や特徴、測定テストについて記述させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。共感覚の人は物心ついた頃から、共感覚の状態で現在を生きているため、自身の感覚や世界観が他の人たちとは違うことに気付くことが遅くなると思われます。

共感覚を持つ人に対する理解は、歴史的に見ても能力として認識されることがなく、一方的に病いの一種だと捉えられて不甲斐無い人生を送った方も過去には居たでしょう。しかし、ようやく近年、共感覚は能力であるという見識が研究者の間でも広まり、脳の理解を深く追求するアプローチの側面としても注目を浴びるようになってきました。

それでも共感覚については、未だに解明されていない部分が多々あるようです。ですが、共感覚の研究を通して発達障害や脳の発達メカニズムなどが、明らかになっていく可能性があるとの噂もありますので、更に共感覚の知名度が高まることを筆者も期待しております。

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