嫌いな人や苦手な人が夢に出てきたことはありますか？
せめて夢くらいは自由に見て、快適に目覚めたいものです。逢いたくもない人が夢に出てきた朝は、寝起きはげんなりして熟睡した気がしないかもしれません。
嫌いな人は自分自身の「闇」の部分を投影していると言われています。ユング心理学では「シャドウ」と呼び、自分が潜在意識に押し込めたネガティブな部分が、存在を主張して時に夢として現れるのだと解釈します。
しかし、悪い暗示ばかりでは無いようです。あなた自身が嫌悪感や苦手意識とどう向き合い関わるかで、今後の流れが望ましい良き方向に変化するからです。
「嫌いな人」は夢の中で何をしていましたか？またそんな様子でしたか？夢を深く知る事で、自分を深く知る事ができます。
「嫌い」という感情の裏側を知ろう
嫌いな人の夢の意味を読み解く前に、そもそもその対象を本当に「嫌って」いるのか、自己チェックしてみましょう。
「嫌い」という感情は自分の心を護るのに、実に便利なのです。
嫌いという感情で隠せる本音がある
嫌いだと感じている人に対して、本当は劣等感・罪悪感や後ろめたさ・嫉妬・服従関係・依存心・恐怖・不安があるのかもしれません。その感情たちは、認めたくない自分の弱さそのものです。
この世で人間は、他者との相対評価の中で自分の価値を決めています。自分は無価値だと感じて絶望することを非常に避けたがります。このような感情を感じることが辛いので、元々の感情を隠すために、「嫌悪感」という仮面をかぶります。
好き・嫌いの感情は自分が主体になっています。自分が選んだ判断です。好き・嫌いの判断だけで生きていられるときは自己肯定感を得られて、とても楽なのです。「嫌い」だと「ラベル」を貼ることで、「否応なく感じている自己否定感」をカモフラージュできるので、落ち込まなくて済むわけです。
隠した本音が夢を動かす
例えば気になる異性がいたとします。本当は近づきたいのですが、「嫌われていたらどうしよう」と不安でたまらなくなっていたとします。
「本当に嫌われているのなら、その事実を知ったら私はとても傷つくだろう」「私は傷つかないように最悪の状況を想定して自分の心を護らなければ」と、心は瞬時に判断して動きます。
人間は、自分の心を護る方に感情を操作することができるのです。「最初から私はその人が嫌いだった」と思い込んでしまえば、嫌われる不安から離れていられます。
「嫌いな人」という「ラベル」を貼った容器の中身である「あなたの本音」「あなたの深層心理」が問題です。
それでは、以上を踏まえて、具体的な「嫌いな人の夢」のケースを見ていきましょう。嫌いな人や苦手な人は、夢の中で何をしていましたか？どんな関係でしたか？
嫌いな人の夢《吉夢》
嫌いな人が出てくる夢で、吉夢になるパターンをいくつかご紹介します。
嫌いな人と喧嘩している
喧嘩の夢そのものがネガティブな感情エネルギーの解放を意味する「吉夢」であることがあります。抑圧した感情のエネルギーを解き放って、状況が良くなっていく前触れでもあります。
実際に嫌いな人との関係を物語っている場合もあります。
口喧嘩している
嫌いな人と口論しているなら、溜まったストレスをどうにかして解放しようとして葛藤している状態です。
こちらが積極的に発言したり言い負かそうとしていたなら、相手より優位に立ちたいという願望の現れです。相手が一方的に言ってくる場合は、あなたに理解してほしい事がありそうです。
現実面で自分が思い込みや嫌悪感から離れて歩み寄ることで、思わぬ発見や成長が期待できそうです。
殴る喧嘩をしている
取っ組み合いの殴り合いにまで激しく争っていたなら、負の感情を昇華して現実面では成長できるようになる暗示です。
弱気や怠惰や劣等感に勝つべく、立ち上がれる時です。チャレンジやアクションを起こして良い時期であることを、教えてくれています。
実際の嫌いな人と、これから仲良くなれることも意味しています。相手が殴ってきた場合、これから味方になってくれる可能性や、あなた自身が成長して調和的な関係になれる可能性を暗示しています。関係性は改善していきそうです。
嫌いな人を殺す
自分自身のネガティブな感情に振り回されて、かなりの不満やストレスを感じているようです。自分でも変えたい、変わりたいと願っているのかもしれませんね。
エネルギーを良い方に振り向けることができれば、将来的には自己変革ができるようになることを暗示しています。
実際の「嫌いな相手」への強烈なストレス解消として、このような夢になる場合もありますが、殺した後で後悔が残る夢なら、本当は相手と調和的な関係になりたいと願っていることの暗示です。
嫌いな人と仕事をしている
嫌いな人と共に、協調的にある仕事に向かっている夢は、自分のネガティブな側面と折り合いをつけながら成長していくことができることを暗示しています。
実際の「嫌いな人」が、実はあなたを理解し成長させてくれる最大の支援者であることも暗示しています。現実の仕事面や学校で今課題になっていることや、思い当たることはありませんか？
苦手な上司や友人の助言を素直に受け入れることが、結果的にプラスになるかもしれません。
今の自分を認めてもらおうと自己主張したくなったり、逆に自信が無くて弱気になったりせず、苦手意識を持っている人のアドバイスや援助を受け取ってみてください。
その人との関係改善が期待でき、距離が縮まっていくことも暗示しています。
嫌いな人と結婚する
自分の予想を超えた何かが合わさったり、関係したりして、驚くべき効果が生まれる前兆です。
本当に苦手な人との関係が、何かのきっかけで大変化を遂げ、お付き合いしたり結婚したりすることもありかもしれません。
自分の思い込みや常識の枠組みを壊して可能性が広がる、希望と期待を暗示する夢です。
嫌いな人を助ける
自分のネガティブな感情を、建設的な方向に癒して成長しようとしている暗示です。
未熟な性格を良くしていこう、欠点を直して自分を磨こうと努力していることの現れで、今後運気が向上し、人生の良き変化が現実になる可能性があります。
嫌いな人の夢《警告夢》
嫌いな人が出てくる夢で、警告のメッセージを含んでいるものをいくつかご紹介します。
嫌いな人を武器などで攻撃している
嫌いな人と喧嘩する夢でも、武器などで相手を傷つける意図があって喧嘩していたなら要注意です。劣等感や嫉妬や罪悪感といったネガティブな感情に心が飲み込まれようとしていることを警告しています。
休養をとったり、苦手な人から離れられる環境を創ったりして、心の健康を保つよう働きかけが必要です。
嫌いな人に好かれる
こちらは苦手意識を持っているのに、ストーカー的に相手に好かれて「困っている」夢は、嫌いな人が反面教師の役割を演じています。つまり、彼らの行動があなた自身の隠れた性格や心理状態を暗示している可能性があります。
相手が同性の場合、あなたが誰かや何かに執着、または意識しすぎていると教えてくれているようです。
相手が異性であれば、恋愛関係のもつれを含めて、同じようにあなた自身の嫉妬心や執着心を暗示している可能性があります。
あなた自身の負の感情は、知らず知らずのうちに体力や気力を消耗させています。心身の健康を損なう危険性があることに気づいてほしいと潜在意識は訴えています。
もっと相手の心情や状況を察して、配慮した方が良いのかもしれません。振り返ってみましょう。
嫌いな人と仲良くなっている
相手の立場に立って理解しようと努めたり、相手の行動を反面教師として受け止め学ぶことが、あなた自身の成長に必要であること暗示しています。
許せない感情にそのままこだわり続けるのではなく、成長させてくれてありがとうという気持ちで「離れて」みましょう。離れられた時間で、別の生産的なことが出来ます。
また、実際の「嫌いな人」に対して、実はあなた自身はとても実力を評価していて、良い意味でのライバルだと認識していることも暗示しています。
嫌いな人が怒っている
同性の場合、実際の相手もあなたに怒りの感情を持っていることを暗示しています。現実面での対応に注意が必要です。
異性の場合、相手から好意を持たれているという暗示もあります。
嫌いな人がしてはいけないことをしている
嫌いな人は、あなた自身の投影です。
嫌いな人が「してはいけないことをしている」ということは、あなた自身が望ましくない行動をしていないかどうか、振り返ってみるよう警告している夢です。
嫌いな人から逃げる
嫌いな人から逃げている夢は、困った状況を回避したり、苦手な対象から逃避したい願望が在る事を暗示しています。
もう一つの意味は、実際のその人に対して理解できない部分があり、困惑していることを意味しています。
嫌いな人を抱きしめる
嫌いな人のことを本心ではそれほど嫌悪していないことの暗示でもありますが、恋愛願望が高まっている状態も示しています。
相手は誰でもいいので恋がしたい状態になっている可能性はありませんか？
虚栄心や寂しさから恋愛に向かうと、のちのち自分を安売りして後悔するようなことになりかねません。愛情飢餓や肉体的欲求だけで恋だと誤認してはいないか、警告を発する夢です。
まとめ
いかがでしたか？
「現実に存在する嫌いな人」への「あなたの感情」は、「あなた自身が認めたくないあなた」が投影されたものです。
自分の闇の存在を進んで取り上げ、認める事は難しいものです。闇もあなたの一部であることを、「嫌いな人」の姿を借りて潜在意識はメッセージを送ってきます。
潜在意識に仕舞われてしまった「あなたの心」は、あなたが感じたくない辛さを黙って引き受けてくれていたのです。
夢が伝えたことをひも解いて、もう一人のあなたにも光を当ててあげてくださいね。