ユダヤ人の外見・内面の特徴と名前の特徴を知ろう!

第二次世界大戦中、ヒトラー率いるナチスドイツが行った政策については、皆さんもご存知かと思います。

中でもユダヤ人に対する差別や迫害は、思わず目を背けたくなるような内容です。

終戦から70年、そんな悲しい歴史を乗り越えて現代を生きるユダヤ人とは、いったいどのような人たちなのでしょうか。

今回の記事では、ユダヤ人の身体的・性格的な特徴、生活習慣などについてご紹介します。

ユダヤ人とは?

ユダヤ人とは、ユダヤ教の信者(宗教集団)、もしくはユダヤ人を親に持つ者(血統)によって構成される宗教的民族集団のことを指します。ヘブライ人やセム人と呼ばれることもあります。

クリスチャンなどと同じで、ユダヤ教という人種や血統的な民族があるわけではありません。

ユダヤ教の法律であるハラーハーでは、正式な手続きを経てユダヤ教に入信した者、またはユダヤ人の母親から生まれた者がユダヤ人であると決められています。

2010年の調査によると、ユダヤ人の総人口はおよそ1340万人。民族独自の国家であるイスラエルを中心に、世界各国で移民が生活しています。

保守的だと言われるユダヤ教徒ですが、厳しい戒律を守って宗教生活を送る人もいれば、中には儀式や文化を守るだけで私たちとほぼ変わらない暮らしを送っている人もいるようです。

ユダヤ人の外見的な特徴

法務省の調査によると、日本在住のユダヤ人は1400人ほど。私たち日本人とはあまり接点がないため、ユダヤ人がどんな人たちなのかイメージできない人も多いのではないでしょうか。

ここからは、ユダヤ人の身体的な特徴や、服装の特徴についてご紹介します。

大きな鉤鼻

「鉤鼻」とは、鼻柱が鉤(かぎ)のように鋭く曲がった肉厚の鼻のことです。日本では「鷲鼻」とも呼ばれています。

絵本などに描かれている魔女のような鼻を想像していただければわかりやすいでしょう。

ユダヤ人の身体的な特徴としてこの鉤鼻が挙げられることが多く、かのスティーブン・スピルバーグ監督(ユダヤ系アメリカ人)も、青春時代に鼻を小さくしようとセロテープで押さえつけていたといいます。

ところが、1914年に人類学者モリス・フィッシュバーグがニューヨーク市内に住むユダヤ人の鼻の形を調査したところ、鉤鼻はたったの14%だったそうです。

先ほど触れたように、アラブ人は人種や血統的な民族ではありませんから、実際には生物学的に共通した特徴があるとは言いがたいのかもしれません。

黒い髪と褐色の肌

ユダヤ社会では、ユダヤ人の祖先であるセム系の直径子孫にあたる人々を「スファラディ系ユダヤ人」と呼んでいます。

スファラディ系ユダヤ人は中東・アラブ系の顔立ちをしており、髪の毛の色は黒く縮れており、肌は褐色です。男性でも小柄な体型の人が多いとも言われています。

ただし、これらの特徴も鼻と同様に、ユダヤ人固有のものというより中東系の民族に共通するものだと言えるでしょう。

また、東欧諸国(ドイツ・ポーランド・ロシア)に移住していた祖先をもつ白人系のユダヤ人は「アシュケナジー系ユダヤ人」と呼ばれ、スファラディ系の人たちとは区別されています。

【男性】立派な髭

頬や顎に立派な髭をたくわえたユダヤ人男性の姿をTVなどで見かけたことはありませんか?

特徴的な髭を持つのは、ユダヤ教の中でも特に戒律の厳しいハシディズム(超正統派)と言われる人たちで、中には生まれてから一度も髭を剃ったことのない人もいるようです。

髭のほか、キッパと呼ばれる小さな帽子や、季節を問わず黒づくめの服装をしているのも、ハシディズム派の男性の特徴です。

【女性】肌を露出しない

男性と同じように、ハシディズム派の女性にも服装に決まりがあります。

季節を問わず、肘や膝、鎖骨を露出することは禁止。夏のイスラエルでは気温35度を超える日も多いといいますから、ちょっと大変かもしれませんね。

また、派手な色や柄、ボディラインがわかる洋服も着てはいけないとされています。

さらに既婚女性は、これ以外にも、髪の毛を隠す、ズボンを履かない、人前で素足にならない(ストッキングを着用)などの決まりがあります。

そこらの学校の校則よりもずっと厳しいですね。学校ならば数年我慢すれば終わりますが、ユダヤ人女性は一生この決まりを守っていかなければなりません。

ユダヤ人の名前の特徴

ユダヤ人には欧米では珍しい固有の姓があります。

代表的な例は祖先の職業に由来する姓で、以下のようなものが知られています。

  • ヘブライ語を起源とする姓
    ・マラマッド(教師)
    ・ダヤン(判事)
    ・コーエン(導師)
  • ドイツ語を起源とする姓
    ・ドラッカー(印刷屋)
    ・カウフマン(商人)

また、イスラエルの初代首相ダビド・ベン=グリオンのように「グリオンの息子のダビド」といった名称を使うことで同名の他者と区別したケースもあったようです。

ユダヤ人の姓の歴史

中世のヨーロッパにおいては、公に姓を名乗ることができたのは貴族だけでした。

18世紀になると、ユダヤ人も姓を持つことを義務付けられましたが、自分たちの好きな姓を自由に名乗ることはできなかったといいます。

当時のユダヤ人には商才に長けた富裕層が多かったと言われており、政治家は彼らに対して徴税を目的に姓の登録を義務付け、同時に登録料兼使用料を徴収して財源を拡大しようとしたのです。

政治家は、一目でユダヤ人だとわかるように、彼らには主に植物名と金属名を由来とする姓を与えました。

代表的な姓としては「ローゼンタール(薔薇の谷)」「ブルーメンガルデン(花園)」「ファインゴールド(金の石)」などがあります。

しかし、このような優雅で美しい姓を名乗るには高い許可料を支払う必要があり、お金を出せない貧しいユダヤ人には「クライン(小さい)」「シュヴァルツ(肌が浅黒い)」といった身体的な特徴などから単純かつわかりやすい姓を与えたのみでした。

中には「ピッシャーマン(小便男)」などという酷い姓を売りつけられた人もいたそうです。お金が払えないからとはいえ、これはあんまりですよね・・・。

アメリカではユダヤ人の改姓が流行

19世紀頃になると、ユダヤ人たちは次々に自由を求めてアメリカへと移住を始めますが、アメリカ社会に受け入れられやすいようにユダヤ姓をアメリカ風に改姓する人が続出しました。

改姓には暗黙のマナーがあったとされており、ユダヤ性を部分的に残したり、姓と同じ意味の英語やフランス語に訳しかえることが多かったようです。

当時は職業差別を回避するために盛んに行われた改姓ですが、差別が薄れた現代では逆に父の代に変えた姓を子の代で元に戻すケースも珍しくなくなってきました。

先ほど触れた元イスラエル首相のダビド・ベン=グリオンもイスラエル移住前は「グリューン」という姓を名乗っていたのだそうですよ。

ファーストネームにも特徴がある?

ユダヤ人のファーストネームは、旧約聖書の登場人物やヘブライ語に基づくケースが多いようです。

  • 男性
    アダム、アブラハム、ヤコブ、ヨセフ、モーシャ、ダヴィデ、ソロモン、ミハエルなど
  • 女性
    アンネ、デボラ、エステル、リフカ、ハナ、サラなど

また、同じ名前でもスファラディー系とアシュケナジー系などの系統によって呼び方が異なり、例えば「サラ」という名であれば、ラディーノ語を話すスファラディー系は「サリット」、イディッシュ語を話すアシュケナジー系は「スリ(スラ)」となるそうです。

ユダヤ人の内面的な特徴

続いては、ユダヤの人々の内面的な特徴をご紹介します。

真面目で勤勉

ユダヤ人には、紀元70年のローマ帝国との戦い(ユダヤ戦争)で聖地であるエルサレムを追われてから、1948年のイスラエル建国までの間、自分たちの国家・国土・資源などを持つことができなかったという歴史があります。

そのため、ユダヤ人の子どもたちは、母親から次のように教えられるのだそうです。

母親:「あなたが生きている限り、他人があなたから奪えないものは何だと思う?」

子ども:「えーっと・・・お金かな?」

母親:「いいえ、答えは知識よ。頭の中にある知識は誰も奪うことができないわ。」

ユダヤ人は「どれだけ大切なものを奪われようとも、再びそれを生み出す知識さえあれば何度でもやり直すことができる」ということを、迫害を受けた歴史から学んできたのです。

幼い頃からこのように教育されていれば、子どもたちも自然と「勉強しよう」という気になるのでしょう。真面目で勤勉な大人へと成長するのも納得です。

論理的な思考が得意

イスラエルに住むユダヤ人の子どもたちは、まだ言葉の意味もわからないうちから「タルムード」と呼ばれる書物を繰り返し読んで勉強する習慣があるそうです。

タルムードとは、紀元前500年から紀元後500年までの1000年間にわたる口伝を、2000人の
学者が10年かけて編纂したと言われるユダヤ教の聖典のようなもので、宗教や哲学、道徳など
のあらゆる事柄について人と人が議論を重ねた結果どういう結論になったかが論理的に書かれています。

これを幼い頃から学び、家庭や学校において議論を繰り返してきたユダヤ人たちには、自分の頭でよく考えて論理的に思考を組み立てる癖がついているといいます。

アメリカには約100万人の弁護士がいるそうですが、そのうち約15%がユダヤ人なのだそうです。アメリカで暮らすユダヤ人は、人口の2%未満。この数字がいかに驚異的なものかがおわかりいただけるでしょう。

夫婦の離婚率がきわめて低い

ユダヤ人は離婚率がきわめて低いことでも知られています。

これには、家族団欒のひとときである「シャバット(安息日)」の習慣や、先ほど触れたように性格的に真面目であることのほか、幼い頃から身につけられてきた結婚観や夫婦のあり方が大きく関係しているようです。

旧約聖書の一書である「箴言(しんげん)」の第31章には、男性なら誰もが絶対に手放したくない理想的な女性の姿が描かれています。

幼少期からこの女性をロールモデルとしながら育ってきたユダヤ人女性は、自然と男性の心を虜にする女性の条件を満たしているのでしょう。

では、ユダヤ人が妻として理想的であると考える女性とは、一体どんな女性なのでしょうか。「箴言」の教えを以下にまとめてみました。

  • 家事も仕事もできる
  • 思いやりがある
  • 金銭感覚がしっかりしている
  • リスク管理ができる
  • 品格と教養を兼ね備えている
  • 家族への気配りを欠かさない
  • 容姿よりも中身で勝負できる

まさに良妻賢母というべき女性ではないでしょうか。私たち日本人女性にとっても参考になりますね。

まとめ

今回の記事では、ユダヤ人の特徴についてご説明いたしました。

現在、世界では非常に多くのユダヤ人が活躍しています。

記事中で触れたスティーブン・スピルバーグ監督のほか、女優のナタリー・ポートマンや「Google」の創始者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、スターバックスコーヒーを世界に広めたハーワード・シュルツもユダヤ系です。

また、ユダヤ人の人口は世界人口の0.25%ほどであるにもかかわらず、ノーベル賞受賞者の20%はユダヤ人なのだそうです。

それほどたくさんの優秀な人物を輩出している理由は、やはり幼いうちから「学ぶこと」の重要性に気付いているからでしょう。

日本で暮らすユダヤ人の数はそう多くはありませんが、もし出会える機会があれば話をしてみるのも面白そうですね。

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