直感でカードを選ぶだけというシンプルな方法ながらも、驚異の的中率を誇るタロット占い。占い好きさんなら、一度は試したことがあるのではないでしょうか。
占いの中であなたが選んだカードは、決して偶然引き当てたものではありません。あなたが胸の内で抱えている喜びや悲しみ、不安、怒り・・・といった感情の波動とよく似た波動を持ったカードが、あなたの手元に引き寄せられてきたのです。
では、全部で78枚あるタロットカードの中から、もし「吊るされた男」が選ばれたなら、それは一体どのようなことを意味するのでしょうか。
今回の記事では、「吊るされた男」のカードの持つ基本的な意味や、仕事や恋愛の状況別の意味について徹底解説したいと思います。
タロット占いの基本知識
はじめに、タロット占いの概要を簡単におさらいしておきましょう。
タロット占いとは、「タロット(tarot)」と呼ばれるカードを用いた占術のことです。
占いに使用するタロットカードは、78枚で1デッキ。「大アルカナ(Major Arcana)」22枚と「小アルカナ(Minor Arcana)」56枚で構成されています。
なお、今回ご紹介する「吊るされた男(The Hanged Man)」は大アルカナに属するカードで、「吊るし人」や「死刑囚」「刑死者」などと呼ばれることもあります。
アルカナについて
タロットカードは、1枚1枚に意味が込められています。もちろん78枚すべての意味を知っていたほうがより細かく占うことができますが、大アルカナ22枚だけでの占いも可能です。
大アルカナは、「1」から「21」までの連続する数が割り当てられたカードが21枚、そして「愚者」と呼ばれる「0」もしくは番号なしのカードが1枚の、計22枚。
この22枚は「The Fool’s Story」という一連の物語になっていて、愚者(Fool)が色々な人や出来事に遭遇しながら成長する様子が描かれているという説があります。
「正位置」と「逆位置」について
タロットカードの意味は、選びだされたカードの向きによって解釈の仕方が変わります。
- 正位置(Positive position):上下の向きが正しい状態。カードの善・陽の部分を示す。
- 逆位置(Reverse position):上下の向きが逆の状態。カードの悪・陰の部分を示す。
ただし、「悪魔」のように逆位置の方が良い意味合いとなるカードや、「塔」のように正逆どちらの向きでも悪い意味となるカードもあります。また、タロット専門の占い師さんの中には、正逆を特に気にせず鑑定を行う人もいるようです。
「吊るされた男」が意味すること
さて、ここからは「吊られた男」のカードが持つ意味について解説していきたいと思います。
カードの物語の主人公は、一人の男性。T字型の木に片足だけを縛られ、逆さ吊りにされています。これは、中世ヨーロッパで実際に行われていた刑罰の様子を描いたものなのだそうです。
こんな恰好にさせられて、男は肉体的にも精神的にも相当な苦痛を強いられているはず。しかし、男の表情は少しも歪んでなどいません。どこか穏やかで、後光さえ放っています。
絶望的な状況下において、男は全てを容認して諦めているのでしょうか、それとも僅かな希望を見出したのでしょうか・・・。
「吊るされた男」のリーディングポイント
男が吊るされている木をよく見てみると、若葉が芽生えています。これは、この木が生きているという証。処刑台として用いるのは伐採した木材ですから、本来ならば新しい葉が出てくることはないのです。
また、男の表情は、これから刑罰を受ける人間とはとても思えないほど穏やかです。つまり、彼は処刑されるのではなく、自らの意志でこの木に吊るされているのです。
彼はなぜこのように身動きのとれない不自由な恰好でいることを選択したのでしょうか。それは、「己の心を鍛えるため」です。これほど苦痛な状況下でも穏やかでいられるのは、この修行こそが自分の幸福につながると、彼が確信を持っているからです。進んで試練を受け入れる、高い精神性が窺い知れます。
「吊るされた男」のキーワードと基本的な意味
【正位置】
- 修行
- 試練
- 忍耐
- 抑制
- 努力
- 犠牲
- 奉仕
「吊られた男」のカードが正位置で導かれた場合は、あなたにとって試練となる出来事の訪れを暗示しています。
残念ながら、この出来事を未然の対策をもって防ぐことは難しいでしょう。知らず知らずのうちに巻き込まれていた・・・そんな出来事によって、苦労を強いられることになりそうです。
しかし、この試練は決して乗り越えられないものではありません。カードの絵の男のように状況を受け入れ、忍耐強く我慢や努力を続けることで、道はやがて開けてくるでしょう。試練を乗り越えた先では、精神的に成長した自分との出会いがあるはずです。
【逆位置】
- 限界
- 無駄
- 骨折り損
- 自暴自棄
- 現実逃避
- 視野が狭い
一方、逆位置で導かれた場合は、あなたの努力が徒労に終わる可能性があることを意味しています。誰かのために尽くしても想いが報われなかったり、努力に見合うだけの成果を得ることができなかったり・・・まるで自分ばかりが苦労しているように感じられそうです。
しかし、そうした辛い出来事は、あなたが本来進むべき道ではないことや、あなたの認識が間違っていることをを教えてくれているのかもしれません。自分の取り組んでいる物事を、一度見直してみたほうが良いでしょう。
【恋愛編】「吊るされた男」の意味と解釈
続いては、タロットの恋愛占いで「吊るされた男」のカードが導き出された場合は、どのように解釈するのかを見ていきましょう。
このカードは、自己犠牲的な恋愛をしている人が引き当てることが多いといいます。
正位置の場合は、あなたの恋にやがて希望の光が差し込むことを意味しています。あなたは現在、カードの中の男のように身動きが取れない状態に置かれ、ただじっと耐えることを強いられているのかもしれません。現状を受け入れることで、恋愛運は次第に好転するでしょう。
一方、逆位置の場合は、どんなに尽くしても報われない関係に、心身ともに疲れ切ってしまいそう。心のどこかで「この恋が実ることはない」と感じつつも、相手を諦めきれずに悪あがきを続けているような状態なのかもしれませんね。一度冷静になって、相手との関係性や自分の本当の気持ちを見つめ直す必要があるでしょう。
片思いは叶う?
【正位置】
あなたが想いを寄せる相手は、仕事や勉強、趣味や友達付き合いなどでいつも忙しそうにしているのではないでしょうか。もし恋人同士になったとしても、あなたをいちばんに考えてもらうのは少々難しいかもしれませんね。
それでも諦めたくないのなら、常に相手のペースを尊重するようにしましょう。「とにかく押せ押せ」のアプローチは重荷になってしまうかも。相手を見守るくらいの気持ちの余裕を持っていれば、チャンスが訪れる可能性も十分にありそうです。
【逆位置】
相手は今のところ、恋愛をする気がないのでしょう。仕事が多忙、趣味に没頭したい・・・など、色々な理由が考えられますが、いずれにしても今は「暖簾に腕押し」の状態。どんなに情熱的なアプローチをしても、うまくはぐらかされてしまう可能性が高そうです。
今回ばかりは、他の異性に目を向けた方が幸せへの近道なのかもしれません。どうしても諦めたくないのなら、しばらくは様子を見るだけにとどめておきましょう。
今の恋人との未来はどうなる?
【正位置】
今の二人の関係は、決して悪いものではありません。しかし、何かとあなたが自分を犠牲にしなければならないようなことが多いのではないでしょうか。
これから先も、自分の本音にフタをしてでも相手に尽くせる、相手に尽くすことで自分も幸せだ、というのなら結婚することも可能でしょう。ただし、あなたが我慢することに多少なりとも不満があるのなら、交際を見直す必要があります。
【逆位置】
ワガママばかりの相手に、心身ともに消耗してしまいそう。もしこのまま結婚したとしても、相手との力関係が変わることはないでしょう。我慢の連続で、結婚を後悔するような場面がたびたび訪れそうです。
しかし、別れを選ぶにしても、どうやら一筋縄ではいかない相手の様子。どちらの道を進むにせよ、苦難は避けて通れない運勢ではありますが、自分の気持ちを第一に考えた選択をするようにしましょう。
別れた恋人と復縁できる可能性は?
【正位置】
相手もあなたとの復縁について考えているかもしれません。しかし、 「また同じことを繰り返してしまうかも・・・」という不安を拭いきれず、身動きがとれないでいるようです。
復縁を望むなら、あなたの方からアクションを起こしましょう。ポジティブな気持ちでいれば、過去の反省を生かしてより良好な関係を築くことができるはずですよ。
【逆位置】
残念ながら、相手は復縁など考えていないでしょう。その理由は、恋愛関係だった頃のあなたの身勝手な振る舞いに散々振り回されたことにあるようです。
復縁を望むなら、まずは自分自身の行動や相手への接し方を見直すこと。人として成長した姿を時間をかけて見せていくことができれば、相手のあなたに対する印象を回復させることができるかもしれません。復縁の思いを伝えるのはそれからです。
【仕事編】「吊るされた男」の意味と解釈
さらに、タロットの仕事占いで「吊るされた男」のカードが導き出された場合の解釈についても見てみましょう。
正位置の場合は、あなたの実力を試される時期が来ていることを意味します。ただ、この試練を乗り越えることができれば、一回り成長した自分を感じられるはず。「きっとうまくいく」と信じて、長期的なビジョンを持って臨むと良いでしょう。
一方、逆位置の場合は、努力に見合うような成果が出ずにモヤモヤしてしまいそう。周囲から大した評価もしてもらえず、報酬も横ばい・・・そんな状況を変えようにも、あなた自身のモチベーションもイマイチ上がらない時期です。
転職はうまくいく?
【正位置】
長期戦を覚悟しておいたほうが良さそうです。 資格取得のための勉強や面接試験など、クリアしなければならない壁がいくつもあり、心身ともに疲弊してしまうかもしれません。また、現在の仕事が忙しく、転職に向けての準備が捗らないことも考えられます。
そんな時は、むやみに動こうとするのではなく、様々な視点からより効率良く段取りを進めていく方法を考えてみましょう。
【逆位置】
行き当たりばったりの行動をすると、痛い目に遭う可能性が高いです。あるいは、方向性に対する努力が間違っていたり、転職に挑戦するにはまだ力不足なのかもしれません。
何をやってもうまくいかないと感じられる時は、信頼できる人にアドバイスを求めてみてください。転職の相談を専門とするカウンセリングを受けてみるのも良いでしょう。
職場での人間関係はどう?
【正位置】
あなたは職場で周囲を気遣った行動ができているようです。そのせいで自分の仕事が後回しになりがちではありますが、そうしたあなたの振る舞いのおかげで良好な人間関係を保てているのかもしれませんね。
ただ、自分が我慢する場面が多く辛いと感じるようなことがあれば、うまくストレスを発散するように心掛けましょう。
【逆位置】
無理をして周囲に合わせたり、上司のご機嫌取りをしたり・・・正直なところ、職場の人間関係を煩わしく思っているのではないでしょうか。やがてストレスが限界に達して爆発しないように注意してください。
もし理不尽な我慢を強いられているのならば、信頼できる誰かに相談したり、思い切って異動を願い出てみることも一つの手です。
今の仕事で成功できる?
【正位置】
仕事に対して満足感を得られるようになるまでに、少々険しい道のりを越える必要がありそうです。途中で挫けそうになることもあるかもしれませんが、諦めずに努力を重ねていくうちに、やがて働く喜びや生きがいを感じることができるでしょう。自分を信じて、何事も前向きな気持ちで挑んでくださいね。
【逆位置】
仕事漬けの毎日に疲れ切ってしまいそう。 このままでは、プライベートな時間を楽しむことができないばかりか、心身の健康を害する恐れがあります。
あなたには、自分を犠牲にしてまで周囲の人に尽くしてしまう傾向があるようです。奉仕の精神は素晴らしいものではありますが、自分で自分の首を絞めるような状況になってしまってはいけません。時には「No」と言うことも大切ですよ。
まとめ
今回の記事では、タロットカードの「吊るされた男」に込められた意味を詳しく解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
カードの中の男は、心の鍛錬のために自ら望んで木に吊るされています。このカードを引き当てたあなたが現在置かれている状況も、きっとあなた自身がそうなるように動いた結果なのでしょう。思うように身動きが取れず、辛いと感じることも多いかもしれませんね。
しかし、男は苦しみの後に道が開けると信じています。だからこそ、片足を縛られて逆さ吊りになっても、ただじっと耐えることができるのです。
タロット占いでこのカードを引き当てたなら、自分を取り巻く現状を受け入れること。そして今はやみくもに動く時期ではありません。辛い状況に耐えることこそが運勢を好転させるのだと信じていれば、やがて希望の光が差し込むでしょう。
最後までご拝読いただき、ありがとうございました。
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